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第21話

 ――だからって、ナインとやらかすわけにはいかないんだよ……!  いくら治療のためでも、そう簡単に割り切れない。そんなすぐに割り切れたら、ここまで悩んだりしない。  もしナインにお願いしたら途中で絶対兄と混同してしまうし、そんな状態で治療しても、終わった後で自己嫌悪に陥りそうだ。  だから、今回ばかりは自分でどうにかするしかない。兄をこっそり呼び寄せるわけにもいかないんだし(完治するまで外部との接触は禁止である)。  するとナインは、やれやれと溜息をついてこう提案してきた。 「じゃあ、こうしよう。あと一週間待って、それでも自力で何とかできなかったら僕がお手伝いする。性欲が爆発しそうになった時も同様だ。いいね?」 「あ、ああ……わかった」 「約束だよ? その時になって『もう少し待って』って言うのはナシだからね?」 「はい……」  アクセルは重い溜息をついた。  正直、全く自信がないのだが……無理でも何とかするしかない。浮気したくないのなら、何としてでも自力で解消しなくてはならない。 「それと……ちょっと一緒に来てくれる?」 「? なんだ?」  ナインが連れて行ってくれたのは、研究施設があった地下の倉庫だった。  部屋の奥にはカーテンで仕切られた場所があり、そこにも何か大量の道具がしまわれているようだった。 「ほら、こっち」  ナインがカーテンをめくって中に入っていく。アクセルも一緒についていった。  が、入った瞬間目を剥いてしまった。 「んなっ!? なんだこれ!?」  そこには、いわゆる「大人の玩具」が大量に保管されていたのだ。  後ろに挿れる用の道具はもちろん、振動が調整できるバイブ、拘束用の椅子、木馬まで揃っている。  近くにあったファー付きの手錠と、ハタキのような鞭を見て、思わずげっそりしてしまった。 「こ、こんなものまで……。何でこんな道具があるんだよ?」 「治療のために決まってるじゃないか。性欲って人によっていろんな解消法があるからさ、道具で何とかできる人も多いんだよね」 「そ、そうなのか……」 「人の力は借りたくないんでしょ? だったら、ここの道具で何とかしなよ。貸し出しは自由だから、使ったらちゃんと綺麗にしてから戻してね」 「は、はい……」 「それと、何度も言うけど期限は一週間だからね? 道具を使っても駄目そうなら、ちゃんと覚悟を決めるんだよ?」 「わ、わかりました……」  そういってナインは、カーテンをめくって出て行ってしまった。  残されたアクセルは、いかがわしい道具を見回して重い溜息をついた。  ――兄上……助けてくれぇ……。

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