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第33話

 するとナインは、ふわっと柔らかく微笑んだ。 「ありがとう。じゃあ、もし奇蹟が起きて僕が何かに転生したら、見つけて話しかけてね」 「ああ、約束するよ」 「でも、あくまで浮気にならない程度でよろしく。生まれ変わって早々、フレインに斬られるのは嫌だしさ」 「それは……うん、気をつけるよ」  兄は浮気には比較的寛容だが、だからといって嫉妬しないわけではない。  ブチ切れると手がつけられないので、ナインと仲良くする際は注意が必要だろう。 「ごちそうさま、美味しかった」  ナインがお礼を言いつつ、食器を綺麗に片付ける。  アクセルも一緒にフライパンやボウルを片付けながら、聞いた。 「他に食べたいものはないか? 遠慮せずに言ってくれ」 「うーん……今は思いつかないかな。何か思いついたらまた言うよ」 「……そうか……」  ナインの好物とか、もっとたくさん作ってあげたかったのだが……。  少し落ち込んでいると、案の定ナインが苦笑してきた。 「もう、またそんな顔して。言うんじゃなかったなー、僕の寿命のこと」 「ご、ごめん……。でも、やっぱりまだちょっと受け入れられなくて……」 「さっき『絶対生まれ変わろう』って言ってくれたじゃない。希望を持ってるなら、それでよくない?」 「それとこれとはまた別問題だよ。俺は今のナインともっと思い出を作りたかったんだ」  そう言ったら、人差し指でピン、と額を弾かれた。 「気持ちは嬉しいけど、あまりそんなこと言ってると浮気になっちゃうぞ?」 「うっ……。い、いや、俺はあくまで友達として……」 「はいはい、そういうことにしとこうか。そしたら友達として、最期まで楽しく過ごさせて欲しいな。看取る時も、笑顔でお別れしよう。約束ね」 「う、うん……」 「よし、じゃあまたアクセルのトレーニング見せて。ハチミツ入りレモン水作ってあげるから」  強引に外に連れ出され、広場でトレーニングをする羽目になる。  ここ数日は性欲を抑えるのに必死だったから、真面目に身体を動かすのは久しぶりだ。  ――ナインの希望だもんな……。だったら俺も、なるべく楽しそうに過ごさなきゃ……。  自分が落ち込んでいたら、逆にナインに申し訳ない。  何とか気持ちを切り替え、アクセルはいつも通りトレーニングを行った。ナインのアドバイス通り、まずは筋トレ、それから走り込みを行った。

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