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第38話

「あっ……」  金髪の美形なんて、世の中に溢れている。そもそもナインが「金髪の美形」に生まれ変わるという保証すらない。もしかしたら全然違う外見になっているかもしれないのだ。  だけど……なんかこの人は、初めて会った気がしない。  もちろん見た目は当時のナインと違うのだが、一目見て「当たりの人物だろう」という確信に近い感情を抱いた。  ……しかし、どうやって確かめたものだろう。  向こうは多分アクセルのことなど何一つ覚えていないし、きっと名前も違う。  姿も名前も記憶も違うのでは、確かめようがないのでは……。 「あの、もう回収してしまってよろしいですか?」 「えっ!?」  しばらくボーッと見つめていたら、痺れを切らしたように彼が言葉を発した。  どうやら余ったスケジュール表を回収しに来たようだった。 「あっ、すみません……どうぞ……」 「では失礼しますね」  サッとスケジュール表を回収し、何事もなかったように世界樹(ユグドラシル)から帰ろうとする彼。  さすがに何も言わずに別れるわけにはいかず、アクセルは慌てて声をかけた。 「あ、あの! ちょっと待ってくれ」 「はい?」  呼び止められた彼は、足を止めてこちらを振り返った。  けれど当の本人は困惑しており、「何の用だろう」と怪訝な表情になっている。 「あの、何か……?」 「え、ええと……」  しまった……咄嗟に呼び止めたはいいが、何を聞くか考えていなかった。  名前を聞いても意味がない、記憶のことを尋ねても覚えていないに決まっているし、そうなってくるといよいよ何を聞けばいいかわからなくなる。  というか、本当に彼がナインの生まれ変わりか、それすらもよくわからないしなぁ……。 「あの、どうかしましたか? 僕の顔に何か……?」 「あっ……いや、違うんだ。ごめん、忙しいのに呼び止めてしまって」 「いえ……かまいませんけど……」 「ええと……名前、聞いてもいいか? 俺はアクセルだ」 「はあ、アクセルさんですか。僕はノインです。バルドル様のところで、下働きをさせていただいています」 「バルドル様の……?」 「ええ、バルドル様はお仕事が多いので、我々のような下働きが代わりに雑用をこなしているんですよ」 「は、はあ、そうなのか……」  オーディンのヴァルキリーみたいなものか……と、理解する。  もっともヴァルキリーたちはあまりに不出来だったため、オーディンに「不要」と判断されて今は透ノ国に閉じ込められているが。  ――それにしても、「ノイン」か……。名前は似てるんだな……。  まあこの辺は偶然だろう。  できれば、もう少しゆっくり語りたいところなのだが……。

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