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第44話

「それもそうだね。じゃあ立ち話もなんだし、奥にどうぞ。せっかく来てくれたし、お茶くらいは飲んでって」 「ありがとうございます。お邪魔します」  主人自ら食堂に案内してくれたので、アクセルもこれ幸いとついて行った。  道中、こっそり兄に礼を言う。 「兄上、ありがとう。俺じゃ上手く説明できなかったよ」 「いいんだよ。弟のフォローをするのも、お兄ちゃんの役目だからね。……ただお前、さっきの新人に対する態度はちょっといただけないな」 「えっ? どういう意味だ?」 「いくら何でも対応が甘すぎるって。もっと強気にいっちゃって大丈夫だよ。何ならお弁当奪われた時点で、腕を斬り落とすくらいやっちゃってよかった」 「い、いや、それはさすがに……。贈り物を血まみれにするわけにはいかないだろ」 「何言ってるの。贈り物に返り血がつかない斬り方くらいできるでしょ」  ……そんなことができるのは、本当に極一握りの上位ランカーだけだと思うが。  引き攣った笑みを浮かべていると、兄はやや呆れた顔で続けた。 「とにかく、お人好しも大概にしなさいね。誰にでも優しいのはお前のいいところだけど、舐められる可能性だってあるんだから。今度は最初から毅然と対応すること。わかった?」 「は、はい……」  そう返事をしたものの、自分には兄のような真似はなかなかできなさそうだ。  気を取り直し、食堂に到着する。  以前に訪れた時と間取りはほとんど変わっておらず、食堂の隣に厨房があるところも同じだった。 「好きなところに座ってて。今お茶を淹れさせるからね」  そうバルドルに言われたので、アクセルは自分がいつも使っていた席に弁当箱を置いてみた。  兄はその隣に腰掛け、のんびりと周囲を眺めている。 「兄上。俺、厨房で中身を分けてくるよ。廃棄する部分とまだイケる部分を、あまり一緒にしておきたくない」 「そうかい。なら手早く分けて戻っておいで。他人様の厨房を我が物顔で使うのはよろしくないからね」 「わかった」  アクセルは急いで厨房に駆け込むと、勝手知ったる手つきで皿や箸を用意した。  そしてサッと風呂敷包みを解き、弁当箱の蓋を開けて中身を整理する。  これは捨てるしかない、これはまだ食べられそう……と、急いで皿に分けていく。 「……あっ」 「え?」  その時、厨房に金髪の青年――ノインが入ってきた。お茶を淹れにきたのだろうか。  ノインはこちらを見て少し驚いたように固まったが、すぐににこりと微笑んできた。

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