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第45話

「こんにちは。またお会いしましたね」 「あっ、ああ……どうも……」 「アクセルさんでしたよね。バルドル様のお知り合いだったとは知りませんで……その節は大変失礼しました」 「ああいや、いいんだ。というか、俺はそこまで大層な存在じゃないから、そんな丁寧にしてもらわなくていいよ」 「……そうなんですか? バルドル様には、アクセルさんもとても強い戦士(エインヘリヤル)だと窺っていますが」 「はは……。ありがたいけど、それはちょっと買いかぶりすぎかな。俺は戦士(エインヘリヤル)の中では並みの存在だよ」  兄上は別格だけどな……と、付け足す。  あまり邪魔になってはいけないので、ササッと弁当を片付ける。  蓋を閉めようとした時、ノインが申し訳なさそうに謝罪してきた。 「あの……そのお弁当、本当にすみませんでした。ドライ先輩がまた大迷惑をかけてしまいまして……」 「ああ……さっきの人、ドライっていうのか。ノインの先輩なのか?」 「ええ。といっても、僕より一ヶ月早く採用されただけで、ほとんど同期ですけどね。真面目ですしやる気もあるんですけど、そのやる気が空回りしがちというか……。トラブルを引き起こすことも多くて、申し訳ないです……」 「あー……いるよな、そういうヤツ……」  こういうのを「やる気のある無能」っていうんだったか……と、心の中で考える。  生前どこかの隊に所属していた時は、「味方の中に『やる気のある無能』がいたら、真っ先にそいつを殺せ」などと過激なことを言われたものだ。  ――いらんことをして、状況をどんどん悪化させちゃうからだな……。本人には悪気がないから、余計にタチが悪いというか……。  そんなことを考えていたら、ノインがこちらの手元を覗き込んだ。 「その玉子焼き、美味しそうですね」 「えっ……?」 「僕、昔から甘い玉子焼きが好きなんですよ。自分ではあまり上手く作れないんですけど」 「えっ、そうなのか? 本当に?」 「ええ。なのでアクセルさんの玉子焼き、ふわふわで美味しそうだなって」 「…………」  この時点でちょっと泣きそうになった。  見た目も名前も性格も変わってしまっても、味の好みは変わっていないのか。前世で味わった玉子焼きの味を覚えているのか。  気付いたら、アクセルはまだ手つかずだった玉子焼きを皿に乗せ、ノインに差し出していた。

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