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第49話

「いえっ、ボクは休みなんていりません! バルドル様のために無休で働かせていただきます!」 「……え?」 「というか、バルドル様がお休みしているのなら尚更、ボクたちが休んでいるわけにはいきません! 代わりにお屋敷をしっかり守らなくては!」 「それはそうだけど、一度も休みをとらせないっていうのはさすがに……」 「いえ、大丈夫です! ボクは頑張れます! ……みんなもそうだよな?」  などと、他の下働きにも同意を求め始める。  アインは我関せずといった風に無視を決め込んでいるが、ノインは曖昧に顔を引き攣らせていた。  ――ちょっ、余計なこと言うなよ……。ノインが困ってるだろ……。  自分が無休で働くのは個人の自由だが、それを同じように周りに求めるのは違う。  だいたいドライの場合は、働いたところで余計なトラブルを起こすのがオチだろうが。そしてその尻拭いをするのは、バルドルや他二人の下働きである。本人が責任をとることはまずない。 「やる気のある無能は真っ先に殺せ」と言っていた、生前の指揮官の言葉が今更ながら身に沁みてきた。 「……そうかい? そこまで言うなら、ドライは自由に働いていいよ。掃除でも洗濯でも、できそうなことはやっておいて。他の二人も、自由に過ごしていいからね」  あえて角の立たない言い方をしたバルドル。  働くも自由、休むも自由……と言われたはずなのに、何故かノインは浮かない表情のままだった。  少し気になったので、帰る間際にこっそりノインに尋ねてみた。 「ノイン、次の休日って用事あるか?」 「ああ、今週末のことですか?」 「うん。もしよかったら、お茶でもどうかなって」 「ええと……ありがたい申し出ですけど、ドライ先輩を見張ってないと……。放っておくと、何をやらかすかわかったものじゃないんですよ……」 「そ、そうか……。まあ、確かにあの手のタイプは見張ってないと不安になるよな……」 「ええ。ちょっと目を放した隙に、屋敷をめちゃくちゃにされては敵いませんから……」 「ノインがそこまで責任を負うのも、変な話だけど……。バルドル様には相談したのか?」 「一応、かいつまんで相談したことはあるんですけど……そしたら今度はドライ先輩に『余計な告げ口すんな!』って逆ギレされてしまいまして」 「ええ? それ典型的なダメなやつ……」 「アイン先輩は個人主義なのでこちらに関わろうとしないですし……現状、僕がこっそり尻拭いするしかないんですよ」 「いや、おかしいおかしい! そんな労働環境、どう考えてもおかしいって!」  思わず大きな声が出てしまい、慌てて声のトーンを抑える。  兄にも帰宅を促されそうだったので、アクセルは早口に言った。

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