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第50話

「とにかく、ドライに巻き込まれてノインまで休みをとれないのはよくないよ。俺もなるべく協力するから、いつでも相談してくれ」 「え、ええ……ありがとうございます」 「それじゃ、また来るから」  そう言って、その日はひとまずヴァルハラに戻った。  夕食まで時間があったので、庭で鍛錬しながらいろんなことを考える。  ――一番手っ取り早いのは、ドライをクビにしちゃうことなんだが……。  だがドライを雇ったのはバルドルだから、アクセルにどうこうする権利はない。  だったらノインに今の仕事を辞めさせて、別の働き口を紹介してやるという方法もある。が、ノイン自身が「バルドルの下働き」という立場を気に入っているなら強制はできない。  どうしたものだか……。 「お前、さっきからずーっとノインくんのこと考えてない?」  スクワットをしていたら、隣に兄がやってきた。 「なんか頭の中をノインくんに盗られてるみたい。妬けちゃうなぁ」 「何言ってるんだか……。兄上のことは今更考えるまでもなく、頭に染み付いてるよ」 「おっと……そう来たか。お前も言うようになったじゃないか」  そう言って、兄も一緒にスクワットを始める。  アクセルより深く腰を落としていてペースも速かったので、ちょっと悔しくなった。これだけ鍛えても、まだ兄には敵わないようだ。 「まあ冗談はともかく、ノインくんの労働環境は気になるね。ノインくん自身が悪いわけじゃないから、今は貧乏くじを引かされている感じなのかな」 「そうかもな……。生前からずーっと幸薄くて、可哀想になってきた」  スクワットを一区切りさせ、今度は片脚でスクワットしてみる。これをやると、太ももからお尻にかけての筋肉がものすごく刺激されるのだ。 「ひとまずドライを何とかできればな……。そうすりゃノインも、バルドル様のところでのびのび働けると思うんだ」 「おや。お前、問題はドライくんだけだと思ってる?」 「え? だって問題起こしてるのは明らかにドライだろ? アインは関わってこないって言ってたぞ?」 「それもどうかと思うけどね。アインくんが関わってこないってのは、逆に言えば仕事の連携は全くとれてないって意味だよ」 「……あ」 「あれだけ大きな屋敷で仕事の連携がとれてなかったら、それなりのトラブルも起こるんじゃないかな。同じ部屋に二回掃除に入っちゃったとか、道具の紛失が起きても行方がわからないとか、そういうミスも頻発してるんじゃない?」 「そ、それは……詳しいことを聞いてないから、何とも……」  でも言われてみれば、十分考えられる事案だ。

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