51 / 60

第51話*

 ノインはおっとりしているから、そういったシワ寄せが全部彼にいってしまっているのかもしれない。彼一人だけが苦労しているのなら、何とも気の毒な話だ。 「それで、また玉子焼きのお弁当差し入れに行くの?」  そう兄に聞かれたので、アクセルは少し首をかしげた。 「うーん……どうしようかな。下手なもの差し入れて、また台無しにされても困るし。成り行きだけど、玉子焼きは食べてもらえたしな」 「そうかい」 「今度は差し入れとかじゃなくて、純粋に会いに行きたいところだけど……この調子じゃ、休みを利用するのは難しそうだし。ちょっと考え中だ」 「だったらバルドル様の休暇中は、お前も屋敷のお手伝いをしてみるってどう?」 「……えっ?」 「屋敷の勝手はわかってるでしょ? ノインくん一人が、他の子たちの尻拭いするのも理不尽だし。手伝えそうなら手伝ってあげれば?」 「なるほど。バルドル様が許してくれるなら、そうしてみようかな」  やや出過ぎた真似だと思わんでもないが、それが一番いいアイデアかもしれない。ゆっくりお茶はできなくても、仕事しながら会話はできるだろうし。  夜になり、いつも通り夕食を作って兄と一緒に食べ、入浴して早めに寝ることにした。  明日はバルドルにお窺いの手紙を出してこよう……と思いながらベッドに潜り込んだら、兄が当たり前のようにこちらのベッドに腰掛けてきた。 「ところで、そのお手伝いってバルドル様がいない間ずっと続けるの?」 「あー……多分な。といっても、バルドル様が何日休暇をとるつもりかわからないから、何とも言えないけど」 「そう……。じゃあ場合によっては、お屋敷に泊まることもあるわけだ?」 「う、うん……。それもどうなるかわからないが……」 「……ま、いいけどね。最終的に私のところに帰ってきてくれるなら」  何か意味深な言い方に、少しドキッとした。  とうとう兄がベッドによじ登ってきて、こちらの掛布団を引っぺがしてくる。 「でも、それはそれとしてマーキングは必要だな。お前は私のものだって、ちゃんと身体に刻みつけておかなくちゃ」 「えっ? い、いや、今更そんなことしなくても、俺は浮気なんて……」 「わかってるよ。だけど、それとこれとは別。お兄ちゃんとして、やることはやっておかないとね」 「いや、だからそんな……あっ」  反論の言葉も虚しく、就寝着をするりと脱がされ、下着も左脚だけ引っこ抜かれ、右太ももに残した状態で取り除かれてしまう。  そして両腕を背中に回され、タオルで手首を縛られてしまった。

ともだちにシェアしよう!