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第64話

「ずるいぞお前! ちゃっかり友達呼んで仕事を手伝わせるなんて!」 「えっ……?」 「掃除は一人でやるもんだろ! そんなずるい方法で仕事して、恥ずかしいとは思わないのか?」 「いえ、そんな……」 「どうせバルドル様がいない間に部屋をピカピカにして、点数稼ぎをしようって魂胆なんだろ? お前の考えていることなんて全部お見通しなんだからな!」 「あの、僕はそんなつもりじゃ……」 「言い訳すんな! バルドル様が帰ってきたらキッチリ報告してやるから、覚悟しとけよ!」  一方的にドライにまくし立てられ、ノインは目を伏せて閉口してしまった。  反論したいのはやまやまだが、言おうとしてもすぐにそれを遮られる。その上ドライが全く話を聞こうとしないので、ノインも半ば諦めてしまっているようだ。  ――なるほどな……。いつもこうやって言論封殺されてるのか。  さすがに見ていられず、アクセルは一歩前に出た。 「ちょっと待て。そういうあんたは何なんだ?」 「はい……?」 「ノインのことをずるいとか言ってるが、あんたにそんなこと言う資格があるのか? 誰があんたの仕事の尻拭いしてやってると思ってるんだ?」 「尻拭いなんてされてませんよ。ボクの仕事は完璧ですから。そんなことより、あなたは口出ししないでください。これはボクたち下働きの問題なので」 「誰の仕事が完璧だって? 現にあんたがドタドタ廊下を走ったせいで、床に足跡がついちゃってるんだけど。人が掃除してる側で仕事を増やすなよ」 「後輩がずるいことしてるから、わざと汚してやったんですよ。これくらいの罰は当然でしょ」  悪びれもなく言い切るドライに、いい加減腹が立ってきた。  アクセルはイライラを抑えつつ、言った。 「だからあんたに罰を与える資格はないんだよ。あるとしたら、雇い主であるバルドル様だ。というか、たかが一ヶ月早く雇われたくらいでなんでそんなに偉そうなんだ、あんた。仕事ができないなら、おとなしく引っ込んでろ」 「し、失礼な! ボク以上に仕事熱心な下働きはいないのに」 「『熱心なこと』と『仕事ができる』ことはイコールじゃないんだよ。本当に仕事ができるなら、差し入れの弁当をあんな風にぐちゃぐちゃにしないはずだ。少なくとも俺の目から見たあんたは、『やる気のある無能』でしかない」  無能と言われたせいか、さすがのドライも絶句していた。  普段ならここまで言わないのだが、彼のようなタイプにはハッキリ言ってやらないと何も伝わらない。元々あまり話を聞かないようだから、少しくらいショッキングな言葉で釘を刺さないと効果がないのだ。

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