64 / 66
第64話
「ずるいぞお前! ちゃっかり友達呼んで仕事を手伝わせるなんて!」
「えっ……?」
「掃除は一人でやるもんだろ! そんなずるい方法で仕事して、恥ずかしいとは思わないのか?」
「いえ、そんな……」
「どうせバルドル様がいない間に部屋をピカピカにして、点数稼ぎをしようって魂胆なんだろ? お前の考えていることなんて全部お見通しなんだからな!」
「あの、僕はそんなつもりじゃ……」
「言い訳すんな! バルドル様が帰ってきたらキッチリ報告してやるから、覚悟しとけよ!」
一方的にドライにまくし立てられ、ノインは目を伏せて閉口してしまった。
反論したいのはやまやまだが、言おうとしてもすぐにそれを遮られる。その上ドライが全く話を聞こうとしないので、ノインも半ば諦めてしまっているようだ。
――なるほどな……。いつもこうやって言論封殺されてるのか。
さすがに見ていられず、アクセルは一歩前に出た。
「ちょっと待て。そういうあんたは何なんだ?」
「はい……?」
「ノインのことをずるいとか言ってるが、あんたにそんなこと言う資格があるのか? 誰があんたの仕事の尻拭いしてやってると思ってるんだ?」
「尻拭いなんてされてませんよ。ボクの仕事は完璧ですから。そんなことより、あなたは口出ししないでください。これはボクたち下働きの問題なので」
「誰の仕事が完璧だって? 現にあんたがドタドタ廊下を走ったせいで、床に足跡がついちゃってるんだけど。人が掃除してる側で仕事を増やすなよ」
「後輩がずるいことしてるから、わざと汚してやったんですよ。これくらいの罰は当然でしょ」
悪びれもなく言い切るドライに、いい加減腹が立ってきた。
アクセルはイライラを抑えつつ、言った。
「だからあんたに罰を与える資格はないんだよ。あるとしたら、雇い主であるバルドル様だ。というか、たかが一ヶ月早く雇われたくらいでなんでそんなに偉そうなんだ、あんた。仕事ができないなら、おとなしく引っ込んでろ」
「し、失礼な! ボク以上に仕事熱心な下働きはいないのに」
「『熱心なこと』と『仕事ができる』ことはイコールじゃないんだよ。本当に仕事ができるなら、差し入れの弁当をあんな風にぐちゃぐちゃにしないはずだ。少なくとも俺の目から見たあんたは、『やる気のある無能』でしかない」
無能と言われたせいか、さすがのドライも絶句していた。
普段ならここまで言わないのだが、彼のようなタイプにはハッキリ言ってやらないと何も伝わらない。元々あまり話を聞かないようだから、少しくらいショッキングな言葉で釘を刺さないと効果がないのだ。
ともだちにシェアしよう!

