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第65話
「な、なんであなたにそこまで言われなきゃいけないんですか! ボクはバルドル様に雇われた、れっきとした下働きですよ! 無能だなんてあり得ません!」
「それに関しては、どういう基準で雇ったのかバルドル様に直接聞きたいくらいだよ。全然仕事できないくせに後輩には威張り散らす上、余計な仕事を増やすヤツなんて下働き失格だ。バルドル様に『クビにした方がいいんじゃないですか』って進言してやろうかな」
「あ、あの、アクセルさん……もうそれくらいで……」
ノインがハラハラした様子で止めてくる。
だがドライは、今度はノインに視線を移し、逆ギレのように怒鳴ってきた。
「お前だろ! お前があることないこと吹き込んだせいで、ボクが無能呼ばわりされちゃってるじゃないか! クビになったらどうしてくれるんだよ!」
「えっ……」
「ボクはバルドル様に選ばれたことを誇りに思ってるんだよ! でもお前はそんなこと全然思ってないだろ! 全然関係ないゲストまで巻き込んでボクの邪魔をしてくるとか、お前ホンットに性格悪いな!」
「いい加減にしろよ!」
さすがに我慢できなくなり、アクセルはノインとの間に割り込んで怒鳴り返した。
いつもフォローしてもらっているくせに、それを感謝するどころか無自覚なままノインに責任転嫁していることが、どうしても許せなかった。
「そんなに仕事ができるっていうなら、バルドル様が帰ってくるまで全部一人で仕事してみろよ! ノインが手を出せないように、しばらく俺が外に連れ出しといてやるから」
「ああ、それは助かりますね! こんなヤツがいたら、ボクの邪魔にしかならないんで!」
「よし、じゃあ残っている仕事は全部任せたからな。俺たちはちょっと出掛けてくる。……ノイン、行こう」
「えっ!? ちょ、ちょっと……」
戸惑っているノインに構わず、アクセルは彼を引っ張って屋敷の外に出た。
そのままずんずん歩いていき、世界樹 の前までやってくる。
「アクセルさん、さすがにマズいですよ。戻りましょう? ドライ先輩に仕事を丸投げしたら、お屋敷がめちゃくちゃになっちゃいます」
「いっそ、めちゃくちゃになった方がいいんだよ。とんでもない惨状を見ていただかないと、バルドル様は理解してくれない。ドライの思い込みもそのままになってしまう」
「だけど……」
「いいじゃないか。ドライはノインのこと、『仕事の邪魔』としか思ってないんだから。だったら邪魔できないように、外で過ごしてやろう。元々バルドル様が休みの時は、ノインも休みをとっていいってことになってたんだし」
「それは、まあ……」
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