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第68話

 お湯を沸かしながら食料庫を覗き込み、食べられそうなお茶菓子を探してみる。  ――といっても、うちにはあんまりお茶菓子ってないんだよな……。俺も兄上も、そんなに間食しないから……。  今度からクッキーくらいは作っておくか……と思いつつ、余っていたあられ(ケイジにもらった)を皿に出し、紅茶の代わりに緑茶を淹れてみる。  それらをリビングに持って行くと、兄とノインが何かトレーニングらしきことを行っていた。一体何をしているのか。 「ほら、もう少し頑張って。あと五回」 「は、はい……」  ノインがよろよろとスクワットを始める。  膝や太ももがだいぶ震えており、割と頑張って筋トレしていたことが窺えた。  アクセルは急いでキッチンに引き返し、冷たいハチミツ入りレモン水も用意した。  再びリビングに戻ったところ、ノインは床に座り込んでぐったりしており、反面兄は涼しい顔でノインを見下ろしている。 「ノイン、大丈夫か? はい、これ」 「あ、ありがとうございます……」  ノインは差し出されたハチミツ入りレモン水を一気飲みし、大きな息を吐いた。  水分補給はできても、太ももの筋肉は未だに震えているようで、なかなか立ち上がれないでいる。  アクセルは代わりに、兄に聞いた。 「何でいきなりトレーニングなんかしてるんだ?」 「ノインくんが『僕も強くなりたいです』って言うから、基本的な筋トレを教えてあげていたんだよ」 「はあ、そうなのか。でも……」 「うん。ノインくん、身体に関してはド素人だね。まずは基本的な身体作りから始めないと」 「す、すみません……本当にお恥ずかしい限りで……」  ノインが視線を床に落とす。 「僕、いつもドライ先輩に押し切られたり、アイン先輩に何も言えなかったりするので……今よりも強くなれれば、少しは自分の意見を言えるようになるかなと思いまして……。それで基本的なトレーニングを教えてもらったんですけど、全然ダメですね……。お二人の足元にも及びません……」 「そりゃあ、俺たちはヴァルハラに来る前からずっと鍛え続けてるからな……。そんなのと比べてもしょうがないよ」 「ですが、僕がひ弱すぎるのは事実です……。どうせ生まれ変わるなら、もっと丈夫な身体にしてくれればよかったのに……」  そう落ち込んでいるので、アクセルはお茶セットをテーブルに置き、自分も床に座り込んだ。そして言った。 「いや、多分生前のナインも、身体はそんなに強くなかったよ」 「え、そうなんですか?」

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