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第69話

 ノインにいろいろ尋ねてみたところ、最初はアース神族(アースガルズ)の世界で細々と暮らしていたが、バルドルが下働きを募集しているという報せを聞いたので、ダメ元で応募してみた。そしたら採用されてしまった……ということだった。  何故採用されたのかわからなかったものの、「光の神・バルドルの部下として働けるのは名誉なことだ」という認識がアースガルズでは浸透していたため、ノインも「採用されたからには頑張ろう」と、ずっと真面目に働いていたそうだ。 「はあ、なるほどな……。だからドライは、あんなにやる気満々だったのか」 「ええ、そうですね……。採用されて嬉しい気持ちはよくわかります」 「もっとも、そのやる気が仕事の出来に直結するわけじゃないけどな。如何に自分が仕事ができないか、少しは自覚すればいいんだ」 「自覚するのはともかく、本当に手のつけようがないくらい屋敷がめちゃくちゃになっていたら、どうしましょう?」 「その時は、俺も責任持って掃除を手伝うから大丈夫だよ」  そう言ったら、ようやくノインはホッとしたように微笑んだ。  その後しばらくお茶を飲みながらくつろいでいたのだが、椅子から立ち上がろうとした時、ノインが躊躇ったように動きを止めた。 「う……早くも筋肉痛の気配が……」 「ああ、じゃあ今から泉に行こうか。しばらく浸かれば筋肉痛もとれるはずだ」 「すみません……」 「じゃあ兄上、俺たちちょっと出掛けてくるよ。帰りに夕飯の食材でも買ってくる」  そう言って、アクセルはノインと泉に向かった。  道中、すれ違った戦士たちに何故か怪訝な目を向けられたが、何故そんな風に見られるのかすぐにはわからなかった。 「ほら、ここがオーディンの泉だ。服は着たままでもすぐに乾くから、全裸になる必要はないぞ」 「なるほど、では早速……」  ノインは言われた通り泉に入り、下半身を浸したままじっ……とその場に立ち続けた。  アクセルも泉の縁で様子を見守りつつ、軽く世間話をしていたのだが、 「お、アクセルじゃん。怪我もしてないのに、何で泉に来たんだ?」  横からアロイスに声をかけられ、そちらに顔を向けた。  彼は今しがた死合いを終わらせてきたようで、全身傷だらけになっていた。特に左腕は損傷が激しく、二の腕から千切れそうになっている。  ――結構派手な死合いだったんだな。でも生きてここに来たってことは、アロイスが勝ったってことか。  それならよかった。友人が死合いに勝利するのは喜ばしいことだ。

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