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第70話

 アクセルは軽く微笑みながら、言った。 「俺はただの付き添いだよ。それよりアロイスは死合いお疲れ様だな。早く泉に入るといい」 「おう、ありがとよ。早速失礼するぜ」  アロイスは器用に鎧を脱ぎ捨てると、縁から勢いよくジャンプし、そのままドボーンと泉に飛び込んだ。勢いで水が周辺に飛び散った。なかなか豪快な入り方だ。 「うわっ……!」  案の定、ノインも思いっきり水を被って頭からびしょ濡れになってしまう。  すぐに乾くとはいえ、ノインにとってはちょっとした洗礼になっただろう。 「……あれ? フレイン様かと思ったら、違うヤツじゃん。誰だ?」  ここでようやくノインに気付いたのか、アロイスは彼に近付いてまじまじと顔を眺めた。  一方のノインは困惑したようにアロイスを見返し、最低限の挨拶をしてみせる。 「あ……ノインと申します。アクセルさんにはお世話になっております」 「ふーん、そうなのか? でもあんた、戦士(エインヘリヤル)じゃないよな。戦士(エインヘリヤル)以外が泉を利用してるなんて、初めて見たぜ」 「す、すみません……ちょっと脚の調子がよくなくて……。お邪魔でしたら、すぐに出て行きます」 「や、そういうことじゃなくてさ。どこも怪我してないのに、何で泉に入ってるのか気になっただけだよ」  そう言ってアロイスは、とれかかっていた左腕を右手で押さえた。四肢がまだ繋がっている場合は、その部分を押さえておいた方が回復も早くなる。  戦士にとってはさほど珍しくない光景なのだが、ノインはぎょっとしたようにアロイスを見た。 「あ、あの……それ、痛くないんですか……?」 「ん? ああ、この腕か?」 「ええ……。そんな大怪我で泉に入ったら、もっと具合が悪くなりそうなんですけど……」 「ははっ、こんなのたいしたことないって。そりゃあ全然痛くないって言ったら嘘になるけど、戦士(エインヘリヤル)だったら割と当たり前の怪我だからな。死合いじゃもっととんでもない怪我することもあるし、それと比べたら腕一本ぐらついているくらい、どうってことないぜ」 「そ、そうなんですか……」 「そんなことよりアクセル、フレイン様以外の人と出歩いてるなんて珍しいじゃん。浮気か?」  唐突にそんなことを言われたので、アクセルはアロイスの顔面に水をぶっかけてやった。 「そんなわけないだろ! ノインはあくまでただの友達だよ」

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