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第72話

 その後しばらく泉に浸かり続け、筋肉痛がとれたところで泉から離れた。  帰る際に夕食の買い出しをしようと思ったのだが、その前にノインが図書館に行きたがったので、久しぶりにそこに向かった。 「図書館に何の用事だったんだ? 読みたい小説でもあるのか?」 「いえ、トレーニングのコツが書かれている本があったら読んでみたいなと」 「ああ、そっちか……」 「どうせやるなら、トレーニングのノウハウを学んだ方が効率がいいでしょう? 僕は素人なので、あらかじめ『やってはいけないこと』とかも勉強しておきたいんです」 「なるほどな……」  そういえば、アクセルに「トレーニングの順番には気を付けた方がいい」と教えてくれたのはナインだった。  今までは何も考えずがむしゃらに鍛錬していたけど、同じトレーニングでも順番を変えるだけで効果が全然違ってくることを初めて知った。  それ以来アクセルも、思いついた時に鍛錬のコツを調べ直すようにしている。  ――「毎日筋トレするのはあまり意味がない」とかな。傷ついた筋肉を修復する時間が必要だなんて、知らなかったし……。  あとは、「強い筋肉痛が来なくても、ちゃんと筋肉は使えているから『もっと鍛えなくちゃいけないんじゃないか』と不安になる必要はない」とか、「同じ場所ばかり鍛えていると筋肉が刺激に慣れて効果が薄くなってくるから、『今日は脚中心、明日は腕中心、明後日は腹筋』みたいに、部位は変えて鍛錬した方がいい」とか。  挙げればキリがないが、単純な鍛錬といってもいろいろなコツがあることを学んだ。  ――せっかくだし、俺も勉強していくか。  ノインと一緒にトレーニング関連の書物を集め、机に座って必要な部分に目を通す。  さすがに見覚えのある内容が多かったが、 「腹筋を割りたい時は腹筋を直接鍛えるのではなく、筋肉の多い下半身を鍛えた方が無駄な脂肪が早く燃えるので、結果的に腹の脂肪がなくなって腹筋も見えてくる」  ……という一説は興味深かった。なるほど、言われてみれば納得できる部分はある。  ――これ、腹筋だけじゃなく他の箇所でも同じことが言えるってことだよな。どこか気になる部分が出てきたら試してみるか。  ノインの様子を窺ったら、彼はじっくりと本を読み、熱心にメモをとっていた。こういう勤勉なところはナインの頃から変わっていないかもしれない。 「ノイン、そろそろ帰ろう。必要なものは借ればいいから」 「あっ……すみません。つい没頭してしまって」  ノインは数冊の本を抱え、急いで受付で貸出の手続きをした。

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