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第83話

「……はぁ」  兄はわざとらしく溜息をつくと、カタンとマグカップを置いた。 「……だめだこりゃ。ちょっとお仕置きしないと、お前全然反省しない」 「えっ……?」 「ちょっとおいで」 「っ、あっ!」  首根っこを掴まれ、強引に外まで引っ張り出され、庭の裏側に連行されてしまう。 「ちょっ、兄上!? どこ行くんだ!?」  てっきり寝室でお仕置きされると思っていたから、外に出されるのは完全に予想外だった。こんんなお仕置きパターンは初めてだ。 「うわっ……!」  兄は無言で武器庫のドアを開け、そこにこちらを放り込んだ。  夜の武器庫はほとんど明かりが届かず、おまけに狭いので妙な恐ろしさがある。  こんなところで何をするつもりなんだろう……。 「あ、あの、兄上……?」  身を縮こまらせて様子を窺っていたら、兄は武器庫にあった手錠を壁にくくりつけた。  そして当然のようにこちらの両腕を掴み、頭上で手錠をかけてくる。 「っ……」  アクセルはびくびくしながら次の行動を待った。  ここで手を拘束されたってことは、立ったままみっちりお仕置きされるということか。普段はベッドでやっていることを、夜の武器庫という暗い密室でやるということか。  それはそれで恐ろしい……。  ――兄上……どうかお手柔らかにしてくれ……。  暗くて狭い場所は基本的に苦手だ。洞窟を踏破した時のトラウマを思い出すから、あまり長時間こういう場所にはいたくない。  兄上、早く……お仕置きするなら早くして……! 「じゃあ、このまま一晩じっくり反省しなさい」 「……えっ?」  思ってもみなかったことを言われ、アクセルはポカンと顔を上げた。  顔を上げても、暗くて兄の表情がよく見えない。 「あの……兄上? それってどういう……?」 「今言った通りだよ。朝になったら出してあげるから、今日という今日はしっかり反省しなさい。わかった?」 「え……え……?」  兄が立ち去っていく気配を感じ、アクセルは頭が真っ白になった。  さすがに冗談だと思いたくて、慌てて兄の背に言葉を投げる。 「ちょ、ちょっと待ってくれ! 本当に朝まで放置なのか? 兄上は何もしないのか?」 「……お前、何を期待してるの? ここで弄ばれるとでも思った?」 「っ……」 「そんなことしても、お前が気持ちよくなって終わりじゃない。それじゃお仕置きにならないし、反省もできないでしょ」 「そ、それは、でも……こんなのは、さすがに……」 「さすがに、なに? 何か文句があるの?」 「…………」  ジロリとした視線が痛く、アクセルは口を閉ざした。  震えそうになる身体を必死に抑えていると、つかつかと寄ってきた兄に顎を掴まれた。  そしてぐいっと顔を持ち上げられ、至近距離からこんなことを言われる。

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