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第85話

「……くしょん!」  鼻がムズムズしてきて、アクセルはひとつくしゃみをした。  そういえばここは武器庫なんだった。換気がいいわけではないので、どことなく埃っぽい。  最初は単に「暗くて狭いの嫌だな」と思っていたが、時間が経つにつれて「空気が悪すぎる」という不快感も覚えてきた。  ――こんなところで明日の朝まで過ごさなきゃけないのか? 地味に嫌なんだけど……。  溜息をついた途端、再び大きなくしゃみが出た。  今度倉庫を掃除する時は、壁の一部を切り取って窓をつけておこう。そうすれば、万が一お仕置きで閉じこめられても、少しは気が休まる。  ……まあ、閉じこめられる系のお仕置きは、これ限りにして欲しいものだけど。  ――というか、朝まであと何時間あるんだ……?  夕食を終えてノインを送っていって、それから帰ってミルクコーヒーを飲んでいたところだったから、少なくともあと八時間以上はありそうだ。  それまでずっと手錠に繋がれたまま立ちっぱなしでいなければならないのか。埃っぽい空気と戦いながら? 「うぅ……」  違う意味で泣けてくる。  いくら鍛えているといってもずーっと直立不動のままなのは疲れるし、横になれないのも辛い。  というか、兄は武器庫の中で一晩過ごしたことなんてないのではないか。だから内部がこんな環境になっていることもわかっていないと思う。  ただアクセルの苦手な環境で、一晩放置して反省させたかっただけなんだろうが……こんな環境で反省しろと言われてもいろいろと無理があるような気が……。  ――そもそも反省する箇所なんて、アイツらを上手くあしらえなかったことくらいだし……。  わかったわかった、次はさっさと振り切って帰ってくればいいんだろ……と内心では思っている。  まあ、こんなこと口に出したら追加でお仕置きされそうなので言わないが、ぶっちゃけこのお仕置きって何の意味があるんだろう。ただ時間を無駄にしているだけではないだろうか。  こんなことなら、いつも通りベッドに拘束されて気絶するまで蹂躙してくれた方がいいくらいなんだが……。 「……はあ、もう」  アクセルは何とか楽な体制をとろうと、姿勢を変えたり足踏みしたりした。  途中さすがに眠気に襲われて一瞬意識が途切れたものの、結局ほとんど眠れないまま一晩を過ごす羽目になった。  ようやく空が白み始めた頃には、「眠い、疲れた、喉乾いた、お腹空いた」の四つしか考えられなくなっていた。

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