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第91話

 それから数ヶ月が経過した。  アクセルはいつも通り死合いをこなし、割り振られた仕事を担当し、鍛錬したり、狩りをしたり……と、特に代わり映えのない日々を送っていた。あまりに何も起きないので、退屈なくらいだった。 「兄上。今日は俺、見回り当番だからな」  朝食をとっている時、アクセルは兄に今日の予定を報告した。  今月は死合い以外にそこそこ仕事も入っていて、棺の管理に見回り当番、宴会場の食事作り等、結構忙しい。  ヴァルハラの管理がバルドルに代わって以来、こういった仕事はランクに関係なく全員に回って来るようになったため、上位ランカーだからといって仕事を免除されるわけではなくなった。  現に兄も、狩りの引率や獲物の加工、スタジアムの掃除からアナウンスまで、いろんな仕事を割り振られている。今日は確か泉の見張りだったか。  兄はキツネ色に焼けたトーストを齧りながら、言った。 「そうかい。じゃあ気を付けていっておいで。緊急呼び出し用の鈴もちゃんと持ってね」 「ああ、わかった。終わったら夕食の買い物をしてから帰ってくるよ」  そういって食器を片付け、アクセルは家を出た。  玄関を出てすぐのところにポストがあるのだが、今日は手紙は入っていなかった。  ――ノイン、そろそろ休みが合うといいんだけどな……。  ノインとは、ちょいちょい手紙のやり取りをしている。  お互い休みが合わなくてあれ以来会っていないのだが、ノインは他二人の同僚とも意見を擦り合わせて何とか上手く仕事しているそうだ。  あと、ホズが出張から帰って来たので、ちょこちょこ身体を鍛えてもらっているらしい。 「以前よりは強くなったと思いますので、今度会った時一緒にトレーニングしましょう」  そんなことが手紙に書かれていて、少し驚いた。  スクワット数回でへろへろになっていたノインが、たった数ヶ月でそんなに強くなったのか。  まあ、元が兄のコピーだから潜在能力は高いんだろうけど……そんなに一気に強くなられたら、アクセルの立場がない。  ――また差し入れがてら、顔だけでも見に行こうかな。どんな風にボディメイクされたか、ちょっと気になるし。  そんなことを考えつつ、アクセルは指定の広場に向かった。  市場に近い広場には、今日の見回り当番が集まっている。誰が誰だかわからなかったが、皆真面目に仕事はしてくれそうだったので、少し安心した。 「じゃあそれぞれのルートに従って、時間まで巡回しよう。何かあったらその都度対応して、一人での対応が難しそうなら呼び出し用の鈴を使うということで」  ざっくりとしたルールを確認し、それぞれ巡回ルートを歩くことになった。  アクセルも広場からスタートして、スタジアム前、鍛錬場、棺の前……と順番に回って行った。

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