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第93話※

 慌てて身体を反らし、すんでのところで棍棒を回避する。  棍棒は書類を置いていた机に叩き込まれ、バキッという音を立てて机を破壊した。 「ちっ……避けられたか」 「っ……!」  反射的にパッと距離を取る。  こちらに殴りかかってきたのは、アクセルよりも体格のいい大男だった。先程落とし物を渡して来た人物とは、また別の戦士だった。  そういえば以前いかがわしい店に攫われかけた時、こんな感じの大男に囲まれた覚えがある。ただ、顔をあまり記憶していないので同一人物かどうかはわからない。  ――じゃあ、さっきの落とし物の男は何だったんだ? こいつらに頼まれて、俺に落とし物を届けに来ただけ……?  細かいことはわからない。でも、そんなことを考えている場合ではない。  アクセルは愛用の二刀小太刀を抜き放ち、大男に向き直った。  今度は一人で何とかしなくては。毎回兄の手を煩わせるわけにはいかない。  相手がどのくらいのランクかわからないけど、一対一だったら何とかなるはず。 「おとなしくしてくれよ。なるべく傷つけずに持ち帰らなきゃいけないのに」  そんなことを言われ、アクセルは眉を顰めた。 「それで『はい、そうですか』とおとなしくするわけないだろ。ここは押し切らせてもらうぞ」 「へえ……? この人数でも押し切れるのかねぇ?」 「……!?」  男の後ろから、似たような体格の大男がぞろぞろと駆け付ける。半円状にアクセルを取り囲み、逃げ道をほとんど塞いでいた。  ――多人数戦闘か……これはマズいな……。  一対一ならいいが、多対一の戦闘にはあまり慣れていないのだ。できないこともないが、注意力が散漫になるので負傷することが増える。あとは単純に、体力が保つかどうか。  少し不安になって、ポケットの緊急呼び出し用の鈴を掴んだ。  それを地面に投げつけようとしたところで、何とか踏みとどまる。  ――いや、駄目だ。兄上はもう「助けない」って言ってたんだから。  一人で何とかしようと思った矢先に、兄を呼びつけようとしているのだから世話はない。  こういうところなんだよな、俺が「甘ったれ」って言われるのは……。  気を取り直し、アクセルは正面の男に向き直った。  集中力を高め、闘志を膨らませ、殺気を爆発させる。 「タアアァァッ!」  狂戦士として覚醒しつつ、男たちに斬りかかっていった。  クリアになった視覚で男の攻撃を見切り、殴打を避けながら両手の小太刀を振り切る。 「ぐげッ……!」  正面の大男は、ほとんど何もできずに首を斬られて絶命した。  それを確認することなく隣の大男にも斬りかかり、胴体を一刀両断にする。

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