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第98話
「そういうところが、意地の張り合いだって言ってるんです。苦労してヴァルハラに来て、いろいろあって、やっと相思相愛になったんでしょう? だったらちゃんと仲直りしないと」
「…………」
「というか、そんなに喧嘩してるなら僕にアクセルさんをください」
「はっ……?」
黙って聞いていた兄が、不快そうな声を上げた。アクセルも愕然としてノインを見た。
ノインはわざとらしい口調で、こんなことを言ってくる。
「僕もアクセルさんみたいな弟、ずっと欲しいと思っていたんですよね。真面目で優しいし、努力家で料理も上手く、もちろん戦うこともできる。危機意識が低いのなんて、可愛いものでしょう」
「い、いや、あの、それは……」
「『もう助けない』ってことは、アクセルさん死んでも構わないってことでしょう? そんな雑に扱うんだったら、僕にください。僕だったらずっと大事にしますし、ピンチになったら必ず助けに入りますので」
「ノイン、もうそのくらいに……」
止めようとした時、兄が問答無用でノインに殴りかかった。
容赦ない顔面への殴打だったが、すんでのところでノインの手のひらに止められてしまう。
それでも怒りが収まらないのか、兄は拳を震わせながら言った。
「……コピーの分際で調子に乗るな。アクセルは私の弟だよ」
「知ってますよ。だからこそ、大切にしてくださいって言ってるんです。絶対に失いたくない大事な弟なんでしょう?」
「きみに何がわかるんだ。私が普段どれだけアクセルを大事にしてるか、全然知らないくせに」
「細かいところは知りません。けど、今のフレインさんはアクセルさんを突き放しているように見えます。時には突き放すことも必要でしょうけど、今はその時じゃありませんよ。こういう時に助けに入らなくて、何が兄ですか」
「もうやめてくれ! 兄上が悪いわけじゃないんだ! 元を辿れば、全部俺が悪いんだよ!」
アクセルは、兄とノインの間に割って入った。
これ以上二人の争いは見たくなかったし、原因が自分であることも耐え難かった。
――俺がもっとしっかりしていれば……甘い考えを捨てられていれば、兄上だって「もう助けない」なんて言わなかったはずなんだ……。
よろよろと、縋りつくようにして兄に抱きつく。
「ごめんな……俺が不甲斐ないばっかりに、兄上に迷惑かけ続けて……。一人で何とかしようと思っても、ギリギリのところで力が足りない……。俺自身、情けなさすぎて嫌になってくるよ……」
「アクセル……」
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