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第99話

「俺、もっと強くなる……。兄上の心配なんていらないくらい、強くなるよ……。だから、もう喧嘩しないでくれ……。頼むから……」 「…………」  半泣きのアクセルを、兄がそっと撫でてくれる。  ノインもこちらを見て、呟くように言った。 「……すみません、フレインさん。どうやら言い過ぎてしまったようです。申し訳ありませんでした」 「……いや、いいよ。半分はきみの言った通りだし、嘘でも『もう助けない』なんて言うべきじゃなかった……」  ひとしきりこちらを撫でた後、兄は顔を上げて真正面から見つめてきた。 「……あの時はごめん。私が変なこと言ったばっかりに、お前はずっとそのことを気にしてたんだね。その時は本気で『もう助けない』って思ってたけど、いざお前がピンチになったら『何で助けに行かなかったのか』って後悔した。下手なこと言うんじゃなかったよ……本当にごめん」 「い、いや……だからそれは、俺が鈴を使わなかったからで」 「それでも、何となくの第六感でお前がピンチであることは察せたはずだ。それでも泉の見張りを優先しちゃったんだから、責任は私にある」 「兄上……」 「失ってから後悔したんじゃ遅いのにね……。ヴァルハラにいるからって、命を粗末にしていいわけじゃなかった。今度はちゃんと、後悔しないように行動するよ。約束する」  そこまで言われ、アクセルも返す言葉を失った。  視線を泳がせていると、今度はノインが口を開く。 「僕が受けた印象ですが、アクセルさんは本人の意図とは関係なくちょっかいを出されやすい傾向にあるみたいです。どんなに気を付けていても、変な連中が向こうから寄ってきてしまうんですよ。自分が何かしたのではなく、元々そういう体質なんです」 「……そんなの、迷惑でしかないんだが」 「もちろん、ただのちょっかいは困ります。でも、よく言えばそれは、多くの人に注目され愛されるってことですよ。アクセルさんを気に掛ける人が多いから、手助けされることもあるし、逆にトラブルに巻き込まれることもあるんです」 「そういうものか……?」 「そういうものです。よくも悪くもそれはアクセルさんの特徴ですから、簡単に治すことはできないでしょう。今日だって、精一杯気を付けたけど結局トラブルに巻き込まれてしまったんですよね?」 「まあ、な……」 「ならばもう、無理に治そうとするのではなく、何かあった時にどう対処するかを考えた方がいいのではないでしょうか。例えば今日なら、一人で戦おうとせず誰か助けを呼ぶとか。助けも呼べなければ、何とか逃げる方法を見つけ出すとか。対処療法かもしれませんが、それがベターな方法だと思いますよ」  ノインが穏やかに微笑んでくる。

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