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第101話
――こ、こんなのを当たり前に振り回してたのか……? 腕力はもう敵わないかもな……。
たった数ヶ月でここまで成長してしまうのは、やはり兄のポテンシャルを引き継いでいるからか。
アクセルは兄とは違う個体なので、そういう意味ではその才能を羨ましく思ってしまう。
俺なんか、一生懸命鍛錬しても少しずつしか強くなれないのに……いいなぁ、ノインは。
棍棒を返し、山を登って修行場を目指す。
途中、木が倒れて道が塞がれていたが、そこもノインが木を粉砕して道を開けてくれた。
「へえ……ここが修行場なんですね」
ノインが物珍しそうに周りを見回す。
滝行ができる場所に、赤っぽく熱せられた砂場。
地面には太い丸太が点在しており、持ち上げて負荷をかけることもできれば、砂場の足場にすることも可能だ。
「静かでいい場所ですね。ここなら一人で黙々とトレーニングができそうです」
「もっと上に行けば、更にハードなコースになるけどな。万が一死ぬとヤバいから、今日はここで身体を慣らそう」
「はい」
ノインは背中の棍棒をドスン、と地面に突き刺し、代わりに近くにあった丸太を持ち上げた。
それを担ぎ、早速滝壺にサブサブ入っていく。
「お、おい……いきなり滝行なんかしちゃって大丈夫か? そこの水、かなり冷たいだろ」
「大丈夫ですよ。集中しちゃえば、水の冷たさはさほど気になりません」
「そ、そうか……」
「それにしても、せっかくの修行場なのに誰もいないんですね。皆さん、どこで鍛錬しているんでしょう?」
「普通の鍛錬場だと思う……。あそこなら訓練用の武器も揃ってるし、飛び道具の練習もできるから」
「そうなんですか。とはいえ、大事なのは身体作りだと思いますけどね。基礎体力や筋力がなければ、思ったように武器を扱えませんので」
まるでベテラン戦士のような発言をし、ノインは当たり前のように滝の下に入って行った。
丸太を抱えたままの姿勢で立ち、ひたすら水に打たれている。
ならばと思い、アクセルも軽めの丸太を背負い、同じく滝の下に入った。
以前は頑張りすぎて丸太と水に押し潰されてしまったので、今度は気絶しないようにしないと……。
「…………」
冷たい水に打たれながら、アクセルはチラリとノインに目をやった。
横顔だけ見ると、一瞬兄がいるのかと錯覚する。
生前のナインも兄そっくり――コピーなんだから当たり前だけど、生まれ変わっても顔の造形は大きく変わらないようだ。
もちろん性格は全然違うのだが、元々持っている才能は似ているのかなと思う。
ちょっと鍛錬しただけで一気に強くなれるところとか、天才型の兄そっくりだ。
そういうところ、本当に羨ましい……。
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