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第105話
「俺なんか何年も鍛錬してるのに、相変わらずこんなザマだよ。戦う才能、あまりないのかな……」
これは兄・フレインにもなかなか言えない愚痴だ。
こんなこと言ったら兄に「ヴァルハラに来られたんだから、才能ないわけないでしょ」、「そう思うなら、もっと強くなれるように鍛錬しなさい」と叱られるのがオチである。
喝を入れて欲しい時はそれでもいいのだが、ただ愚痴りたい時はそういう説教は逆にへこんでしまう。
まあ、愚痴っている暇があるなら鍛錬しろと言われれば、その通りなのだが……。
するとノインは、ちょっと苦笑しつつこんなことを言ってきた。
「自分の実力は、なかなか目に見えないですからね。さっきも言いましたが、ヴァルハラのランクはあくまで死合い中に強いかどうかの目安ですので。急な乱闘に強いかどうかはわからないんですよね」
「そうなんだよな……」
「でも、戦士の才能は急な乱闘に強いかどうかだけではありません。生き残る確率が高いのも、立派な才能です」
「生き残る才能……? いや、それこそ俺には全く備わってない才能なんだが」
「そんなことはないでしょう。実際、先程の乱闘から無事に生き残ったわけですから」
「それはノインが助太刀してくれたからで」
「そういう運やタイミングも全部含めて、『生き残る才能』なんです。どんなに危なっかしい展開になっても、誰かの手を借りたとしても、結果的に生き残ればそれでいいんですよ」
そう言われ、アクセルはハッと息を呑んだ。
ノインは続けた。
「それに、万が一命を落としたとしても、アクセルさんには命懸けで遺体を回収してくれるお兄さんがいるじゃないですか。フレインさんじゃなくても、遺体を回収してくれそうなお友達はそれなりにいるんですよね?」
「あー……まあ、そうだな……」
「素晴らしいことですよ、それは。復活できる可能性が当たり前に残っているんですから。ヴァルハラにいると忘れがちですけど、戦士以外の普通の人は一度死んだら復活できないんです。首を斬られたドライ先輩なんか黄泉の国に直行したまま、二度と戻ってこないですよ」
確かにそうだ。死んでも復活できるのは、ヴァルハラにいる戦士のみの特権である。
「その点アクセルさんは何度転んでも立ち上がれるんですから、とんでもない才能を秘めていると言えます。それに、他にも素敵な才能をたくさんお持ちでしょ? コツコツ続ける才能とか」
「え? それは別に才能じゃないだろ?」
「いえいえ、毎日休まずに続けられるのも立派な才能です。世の中、三日坊主になってしまう人の方が多いですからね。かくいう僕も、ホズ様のお稽古サボりたいと何度思ったことか」
「ノイン……」
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