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第108話
そうしている間に露天風呂のお湯がいっぱいになったので、ノインと一緒に入ることにした。
露天風呂の縁に頭を乗せ、星を見上げているノイン。
以前とはまるで違う体格に、アクセルは思わず目が釘付けになった。
「はあぁ……本当にしっかり鍛えられてるんだな……」
「いえいえ、そんな。アクセルさんだっていい身体してるじゃないですか」
「俺の場合は、そうでないと戦士 として恥ずかしいからな……。でもノインは鍛え始めてまだ一年も経ってないだろ? それでそこまでボディメイクできるって、本当にすごいよ。よっぽど努力したんだな……」
「僕は以前が弱すぎたんです。僕の前世――ナインも、寿命が短かったせいで鍛錬らしい鍛錬はしていませんでした。その調子のまま生まれ変わったから、ついこの間までフィジカルもメンタルも脆弱なままだったんです」
ノインがしみじみした口調で言う。
「だけど、やっぱり『このままじゃいけない』と思いまして。アクセルさんとお友達になれたのはいいですが、どこに行っても迷惑ばかりかけてしまい、これじゃ足手まといになるだけだって痛感しまして……」
「いや、俺はそんなこと思ったことないぞ?」
「アクセルさんはよくても、僕が嫌だったんです。だからあれから、一生懸命鍛錬頑張りました。今度は足手まといにならないように……できれば、アクセルさんを手助けできるくらいになりたいと思ってね」
にこっと笑い、ノインは続けた。
「そうやって鍛錬を続けていたら、いつの間にかいろんなことができるようになってました。重いものも平気で持ち上げられるようになりましたし、いくら働いてもあまり疲れなくなったんです。肉体の変化にも気づくようになり、それに伴って何となく心も強くなった感じがして。やっと脆弱な自分から卒業できたって、そのことが本当に嬉しかったんですよ」
「ノイン……」
「もう少し強くなったら。アクセルさんとも手合わせしてみたいです。現役の戦士 相手に自分がどれくらい通用するのか、ちょっと試したいんですよね」
「……いや、もう十分通用してるから」
少し呆れつつ、アクセルは首を振った。
先程棍棒片手にたくさんの大男をぶちのめしていた人物が、今更何を言っているのかと思う。手合わせするなら自分じゃなくて、兄・フレインの方が余程適任だ。
兄なら「コピー相手に負けるわけにはいかないよね」と本気を出しそうだし、割といい勝負になるのではないかと思う。
そんなことを考えながら、アクセルもボーッと星を眺めた。
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