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第7話 俺のせいで。
その一連の田中の行動を見ていたという記者が雑誌一面に記事を書いた。
そこに書いてあった、記事の見出しは『驚愕!!レスリング日本チャンピオン田中亮司、因縁の暴力団組員に襲いかかり暴行。ー彼の本性に迫るー』だった。
写真付きのその記事には美月が写っているはずなのだが、大きくはみ出した見出しの文字で見えなくなっていた。
その記事に始めは信憑性を感じなかったものの、次第に事が大きくなり田中の自宅まで記者が押しかけるようになっていた。
捏ち上げられた嘘の記事を鵜呑みにするように、世間は田中とその家族を袋叩きを始めた。
「いくら極悪非道な暴力団だとしても、弱い者に暴力を奮う行為は悪だ」
有名なコメンテーターがメディアを通して評論したことにより、田中は日本レスリング協会から追放された。
「田中さん、ごめんなさい。……俺のせいで」
「坊主のせいじゃない。それに坊主を助けた自分に誇りをもってるんだ。だから謝るんじゃないよ」
社会的に居場所を失った田中を守るために美月は自分の運転手兼用心棒 にすることにした。
そして田中には弟がいたのだが、まだ幼いため美月の側に置いてはおけなかった。
美剣の秘書に守ってほしいと願い出たら、その美月の願いは叶えてくれた。
美月を完璧に守ってくれた田中を自分の側付きにしたのはいいが、日に日にその視線は保護する者から愛する者への目付きに変わっていった。
「田中も俺が気になる?」
不意に美月は田中に聞いた。
「そんな!!……オレはただ、若が心配で」
『田中もいつか俺を手に入れたいという衝動に駆られるのだろうか』と、美月は思った。
もしそうなってしまったら、自分は何を、誰を信じたらいいのだろう。
だから、そうなる前に釘を差した。
「お前から俺に触れるなよ。俺は絶対にお前の手には入らないからな」
美月は怯えながらそう言うと、田中はそれを察したように返事をした。
「はい!!」
その田中のそのときの返事は、今も忠実に守られている。
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