13 / 24

第13話 初めての

 伊純が起き上がった。  使冴は慌てて袖を引いた。 「待った。ひとりで抜くなら、俺がしてやる」  伊純が気まずそうに使冴を見下ろした。  さりげなく体を逸らして隠している。 「気が付かねぇ振りすんなら、最後まで通せよ。いい、自分でする」 「何でだよ。してやるって」 「あのなぁ。我慢してるだけだって、何回も言ってんだろ。んなもん、されたら」 「いいから。俺が伊純に、してやりてぇの」  伊純の服を引っ張り、捲る。 「人の話を……マジで、やめっ……っ」  熱く硬いソレに手を伸ばす。  ゆっくり舌を這わせて、根元まで咥え込んだ。 (伊純の熱……甘い)  甘い匂いが欲しくて、伊純が欲しくて、我慢できない。 「つか、さっ……フェロモン、抑えろって」  震える肌も、感じる汗も、全部が嬉しい。 (伊純の匂い、濃い……欲しい)  甘い匂いに引き寄せられて、伊純に吸い付く。 「伊純の、飲みたい」  何度も先から根元までを咥えて唇で扱き上げる。 「バカっ、何、言って……イクっ。使冴、顔っ」  使冴の顔を退かそうとする伊純の手を無視して、強く咥え込んだ。  伊純の体が震えて、ドクリと熱いモノが使冴の口の中に流れ込んだ。  勢いで、使冴は流れ込んできた熱を飲み込んだ。  見上げたら、伊純が浅く息を吐いていた。  使冴の顔を、伊純が呆然と眺めた。 「ぁ……っと、悪ぃ。口ん中、吐き出せ」  伊純がティッシュを大量にとって、使冴の口に当てる。 「飲んだから、平気」 「は?」 「伊純の匂いが濃くて、欲しいと思ったら、いつの間にか飲んでた……」  伊純の匂いが全身に広がるみたいで、くらくらする。 「お前は……そうやって」  ワナワナと震えながら、伊純の手が使冴を抱きしめた。  二人でベッドに転がる。 「もう、我慢しねぇぞ。襲われても文句言うなよ」 「言わねぇよ。嫌じゃねぇもん」  伊純の視線から逃げて、その胸に顔を寄せた。  甘い匂いが使冴の脳を刺激して、蕩かす。 (甘い……俺が好きな、伊純の匂い。フェロモンて、こんな感じかな。伊純のフェロモン、感じてみたい)  アルファのフェロモンがどんな匂いか、使冴は知らない。  感じ取れたら、伊純と同じ気持ちで、同じ思いを返せる気がする。 (だから、もうちょっとだけ待っててよ、伊純)  じゃれ合うように抱き合って、キスをして、笑い合う。  友達でも恋人でもない曖昧な関係が、もどかしいけど安堵する。  伊純の優しさに、もう少しだけ甘えていたかった。

ともだちにシェアしよう!