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第10話
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か細い背中の曲線をなぞるように、晃の指が這い、その欲望が桃尻へと伸びる。
密着した衣服の皺が擦れる、乾いた音が静寂に響いた。龍馬は逃げ場のない恐怖に、こくりと唾を飲み込む。その喉仏が上下した瞬間を、晃の右手は見逃さず、獲物を仕留めるように強く掴み上げた。
「……ふぅ、んぅ……っ」
「……いい声だ。そんな声で鳴くんだな、お前は」
「や、だぁ……離して……っ」
拒絶の言葉は、熱い口付けの隙間から濡れた吐息となって溢れ出す。晃の指の腹は、龍馬の割れ目に沿って、下から這い上がるようにじりじりと、その柔らかな肌を蹂躙していく。
「あっ……ん、……ぁっ!」
「もっと鳴け。俺の耳を、その声で汚してみせろ」
晃の低く冷徹な声が、龍馬の思考を白く塗り潰していく。連続的な刺激が脳を焼き、羞恥と快楽が混濁した糸が、唇の端からだらしなく伝い落ちた。
その雫が地面を叩いた瞬間、晃はゆっくりと唇を離し――無防備な首筋へ、獣のように深く、その牙を立てた。
「ッ――!!」
肌に食い込む痛み。だが、龍馬は逃げ出すことができない。痛みよりも、今ここで逃げ出せば、この男に永遠に「捨てられる」という底知れぬ不安が、彼をその場に縛り付けていた。
「龍馬、よく聞け。……次、あの小僧とまぐあうつもりなら、その時はこの首を噛み切ってやる」
「す、すいません……申し訳、ございません……っ」
(怖い。……当主様が、壊れてしまう)
龍馬には、晃がなぜこれほどまでに憤っているのか理解できない。ただ、その狂気の色に触れてはいけないと、本能が警告していた。
その時。
背後の静寂を切り裂くように、乾いた土の音が、不躾な靴音が近づいてくる。
「やぁ。……こんな酷い場所でまぐあいですか? 公爵様」
龍馬の肌を、冷たい汗が伝い落ちる。殺気を帯びて凍りつく晃の気配。背筋を突き抜けるような戦慄と共に、最悪の第三者が、二人の地獄に足を踏み入れた。
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