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第3話 深夜の決壊、キングサイズベッドの洗礼
引っ越しの片付けがひと段落した頃には、時計の針は深夜零時を回っていた。
「ふぅ……。湊、お前もう寝ろよ。明日も早いだろ」
「健ちゃんは? 先にシャワー浴びてきたら?」
「おう、そうさせてもらうわ」
健人はそう言って、バスルームへ消えた。
一人残されたリビングで、湊は母親である美智留との「密約」を思い出していた。
『無理やりはしないこと。4年で落とせなかったらキッパリ諦めなさい』
(……わかってるよ。健ちゃんは素直だから、じっくり外堀を埋めて、僕なしじゃいられないようにすればいいんでしょ?)
最初は、そのつもりだった。
大学生活の4年間。
じっくり時間をかけて、この「叔父」という名の最愛の獲物を、自分だけのモノにする。
けれど、その余裕は、
シャワーを浴びて戻ってきた健人の姿を見た瞬間、音を立てて崩れ去った。
「あー、さっぱりした! ……湊、お前、その顔どうした?」
バスルームから出てきた健人は、驚くべきことに、
ボクサーパンツ一丁という、これ以上ないほど無防備な姿だった。
スポーツで鍛え上げられた、がっしりとした体格。
広い肩幅と、厚い胸板。小麦色の肌には、まだシャワーの水滴がいくつも光っている。
そして、その胸板の先にある、ピンク色をした乳首――。
「……健ちゃん。……なんで、服着ないの?」
湊の声が、自分でも驚くほど低く沈んだ。
「え? ああ、暑いし。男二人だし、いいだろ?」
健人は豪快に笑いながら、
冷蔵庫からビールを取り出し、ソファにドカリと腰掛けた。
太い脚を大きく開き、無防備にビールの缶を煽る。
そのたびに、喉仏が大きく上下し、胸板が波打つ。
(……男二人、だから……?)
湊の中で、理性の糸がプツリと切れる音がした。
「我慢」なんて、最初から無理だったんだ。
(この人は、自分がどれだけ魅力的な「雌」の肉体を持っているのか、全く自覚していない。それどころか、この状況は、僕に対する「誘惑」以外の何物でもないじゃないか。)
「……健ちゃん。」
「ん? うわっ、みな、と……!?」
湊はソファから健人の巨体を突き飛ばすようにして、
ソファーへと押し倒した。
「おい、湊! 何するんだ、いきなり……ッ!」
仰向けにされた健人は、自分より一回り薄い湊の身体に組み敷かれ、目を白黒させた。
「健ちゃんが悪いんだよ。……そんな格好で、僕の前をうろうろして」
湊の瞳から、昼間の「可愛い甥っ子」の光が完全に消え、飢えた猛獣の色彩が宿る。
「僕、我慢しようと思ったんだよ? でも、無理。……健ちゃん、僕のこと、誘ってるんでしょ?」
湊の細い指が、健人の厚い胸板を這い、そのピンク色の乳首を執拗に弄り始めた。
「ひ、っ……! 湊、そこ、だめ、っ……やめっ……!!」
「あは……。健ちゃん、声までエロい。……母さんとの約束なんて、もう知らない」
湊は可愛い顔で残酷なことを言いながら、健人のボクサーパンツを強引に引き下ろした。
自分よりずっと体格のいい叔父を、力ではなく「執念」と「技術」
そして「溢れんばかりの執着」で組み敷く。
「健ちゃん、……僕を、これ以上焦らさないで」
キングサイズベッドという名の処刑台で、がっしりした叔父の身体が、
自分より小さな湊の手によって、弓なりに逸れる。
それが、終わりのない快楽の迷宮への、
記念すべき第一歩であるとも知らずに――。
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