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第42.5話 沈黙

 机の中央に並べられたのは、先日アーネストの元に届けられた共鳴具だった。  セドリック達が本部から借り受けていたものは、共鳴を受けて光るタイプで、第三者にも状態がわかる。  それで、それらはセドリックが本部へと返却しに行った。簡単な使用報告もしてくるだろう。   「そう言うわけで、今回、今後に備えて師団に共鳴具を何セットか常備することにした。通常は執務室で預かり、任務の際に貸与することとする。」 「え、マジですか。」  ヘイデンの言葉に目をやると、その顔は驚き、と言うよりは、少し戸惑っていた。 「ああ……、何かあるか?」  戸惑いの意味を考え、――強度や、仕様など、しかし、せっかくなので本人に問いかけることにした。 「いえその……、え、これ、共鳴具ですよね?」 「ん?うん。」 「その、俺らがウルラに渡してる……、室長も、フリードからもらってるんですよね?」 「うん。預かっているよ。ああ……、あくまで、任務に出る者同士で一対を、それか、一セットを持ってもらう運用だから。」  部屋が、しん、と沈黙に包まれた。  ヒヤりとしたものがよぎり、自分が何かを踏み抜いたことがわかった。 「――何か、……あったか?」  慎重に放ったアーネストの問いかけに、ヘイデンは答えず、目を逸らした。  誰も、何も言わなかった。 「――いいえ、室長。問題ないです。」  ヘイデンの代わりに、答えたのはダートだった。  だが、とても()()とは思えなかった。  聞かなければならない、そう感じたアーネストが口を開こうとしたのを、ダートは薄く微笑んで、とめた。 「室長。――先輩方も、大丈夫なようなので。続きお願いします。」  それ以上、踏み込むな。  ダートの目が、そう言っているようだった。

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