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第3話

翌朝、目が覚めたカイルは、そこが昨夜眠りについたはずのゲストルームではないことに気づき、混乱に襲われた。 慌てて周囲を見回したちょうどその時、バスルームからアレックスが姿を現した。 「やっと起きたか。お前、昨夜は自分の部屋と俺の部屋を間違えて忍び込んできたんだぞ。本当に迷惑な奴だ」 シャワーを浴びたばかりなのだろう。彼は腰にバスタオルを一枚巻いただけの姿で、肌に残った水滴が、見事に割れた腹筋の溝を伝うように流れ落ちていた。カイルはその肉体そのものよりも、その滑り落ちる水滴を羨んだ。 アレックスの筋量は、トラヴィスやケヴィンを凌駕しているように見えた。教師という職業からは想像もつかないほど、全体的にバランスよく引き締まったその体、まるでアスリートのような強靭な脚の筋肉に目を奪われる。 彼は着痩せするタイプなのか、あるいは意図的にその肉体を隠すような服を選んでいるのか……。カイルがそんな考えを巡らせていると、アレックスがわざとらしく咳払いをした。 「そんなだらしない顔で俺の裸を見るな。お前は親父の恋人なんだろう?」 「えっ……」 次の瞬間、アレックスがタオルを解こうと腰に手をかけたため、カイルは慌てて視線を逸らした。 「あの、僕は……正確には、まだ恋人じゃないんだ」 視界の端でアレックスが着替え始める気配に動揺しながらも、カイルは必死で否定した。 「トラヴィスは……君のことを、家族のことを大切にしているから。だから……少し待ってほしいって、言われたんだ」 カイルがそう言い終えた瞬間、すぐ目の前にアレックスの影が落ちた。いつの間にか間近に迫っていた彼に驚き、カイルは弾かれたように顔を上げた。 「そうか……なら、今は誰のものでもないということか?」 着替えを終えたアレックスが、腕を組んでカイルを見下ろしていた。 「わ、わからない……。トラヴィスと夜を共にしたのは確かだし、彼に惹かれている。だけど……」 その圧倒的なオーラに気圧され、カイルは再び目を伏せてスウェットの裾をぎこちなく弄った。すると突然、アレックスの手がカイルの腕を掴み、無理やり立ち上がらせた。 「……っ!?」 その勢いのままアレックスの胸元へ倒れ込み、カイルは彼の厚い胸板に思わず両手をついた。慌てて離れようとしたが、即座にアレックスの大きな手がカイルの身を抱き寄せ、さらに深く引き寄せる。 カイルはアレックスの意図を測りかね、腕の中で硬直することしかできなかった。ただ、その心臓だけが、痛いほど激しく脈打っている。 やがて、アレックスは顔を下げてカイルの耳元に唇を寄せると、かすれた低い声で囁いた。 「何がお前を迷わせている?」 「あ……アレックス……?」 動揺するカイルなどお構いなしに、アレックスはそのまま彼の髪や首筋に鼻を寄せ、まるで獣がそうするように深く匂いを嗅ぎ始めた。その仕草に、昨夜の夢に現れた黒いオオカミの面影が重なる。 だが、浸っている余裕はなかった。アレックスの逞しい右足がカイルの股間に割り込み、自身の質量を暗示するように執拗に擦りつけられたのだ。カイルは血の気が引くのを感じ、慌てて両手に力を込めて彼を押し返そうとした。 「アレックス、待って……っ!」 だが、アレックスは止まらない。それどころか、危険なほど熱を帯びた瞳でカイルを射すくめた。 「昨日……お前が俺を抱きしめながら眠ったのを、覚えているか?」 「……え?」 その言葉の真意を測りかね、カイルが呆然とした瞬間――部屋のドアが激しくノックされた。二人は弾かれたように我に返り、慌てて体を離した。 「アレックス、そこにカイルはいるか? ゲストルームに姿が見えなくて」 それは、トラヴィスの声だった。 アレックスは、まるで先ほどまでの出来事が幻だったかのように平然と扉を開けた。 「ああ、いるよ。少し彼と話をしていたんだ」 「おはよう、カイル。よく眠れたかい?」 入ってきたトラヴィスは、カイルを軽くハグすると、慈しむように頬へ挨拶のキスをした。 「……おはよう、トラヴィス。うん、よく眠れたよ」 「それはよかった。ほら、朝食の準備はできている。二人とも降りてきなさい」 トラヴィスはごく自然な仕草でカイルの腰に手を回し、階下へと誘った。 背中に突き刺さるようなアレックスの視線を痛いほど感じながらも、カイルは決して彼と目を合わせることができなかった。 アレックスの囁きと、あの黒い狼の姿――。それらが頭の中を支配して離れず、その日トラヴィスが用意してくれた朝食が何だったのか、三人で何を話したのか、カイルの記憶にはほとんど残らなかった。唯一、覚えていたのは、トラヴィスのバーが改築中のため、しばらくは彼が付きっきりでカイルと過ごせるということだけだった。   その日、トラヴィスは一緒に釣りをしようとカイルを森へ誘った。トヨタのSUVに釣り道具一式を積み込み、車を走らせること十分。オークの木立を抜けた先に、カイルの知らない大きな野池が姿を現した。 「……この森の奥に、こんな池があるなんて知らなかった」 「釣れるのはほとんどバスだが、運が良ければトラウトもかかるかもしれないぞ」 「そうなんだ。父が釣りをしない人だったから、僕はまったく経験がないんだよ」 「それなら安心しろ、私は最高の教師だからな。数年前まではアレックスもケヴィンもよく付き合ってくれたんだがな。ケヴィンなんて、初めて連れてきた時にこの池で溺れかけてね……」 車から道具を下ろしつつ、トラヴィスは懐かしそうに思い出話を聴かせてくれた。 彼はナイトクローラー(大ミミズ)の箱を開けて生き餌を取り出すと、カイルの手元によく見えるようにして説明を始めた。 「ほら、こうして頭から針を刺して、半分くらいまで通したら……残りの部分をフックの根元まで這わせるんだ」 トラヴィスの器用な指の動きを見つめていると、その指が自分の中にあった時の感触が不意に蘇り、カイルは思わず目を閉じた。 トラヴィスは二メートルほどのロッドをカイルに持たせると、背後から体を重ねるように寄り添い、耳元で優しく手ほどきを始めた。 「いいかい、あの倒木が沈んでいるあたりは奴らの格好の隠れ家なんだ。ほら、こうやって振って……」   生き餌のミミズは緩やかな放物線を描き、狙い通り水面に吸い込まれた。 「あとは待つだけだ。……まるで焦らされているみたいだろう?」 耳元で響くトラヴィスの低い声。そのすべての言葉が性的なメタファーに聞こえてしまい、カイルは自身のペニスが先ほどのミミズのように脈打つのを感じた。 慌てて首を振り、雑念を払って釣りに集中しようと努める。 「カイル、私がタイミングを教えてあげるよ」 しばらくすると、釣り糸が横へススッ……と動いた。 カイルが「もしかして、食いついた?」と小声で尋ねると、トラヴィスは「まだだ」とだけ短く返し、水面を鋭く見つめ続けた。 数秒が過ぎた頃、「今だ!」というトラヴィスの合図とともに、カイルは竿を大きく振り上げる。 必死でリールを巻こうとするカイルを、トラヴィスは「焦らなくていい、ゆっくりだ」となだめるように落ち着かせた。 水面を割って現れたのは、見事なラージマウスバスだった。 カイルは初めての釣りに成功した興奮のあまり、思わず隣のトラヴィスにしがみつき、その頬にキスをした。そんなカイルを、トラヴィスは「まるで子供だな……」と目を細めて笑い、愛おしげに抱きしめ返した。 その後も二人は数匹のバスを釣り上げた。狙っていたトラウトこそ掛からなかったが、カイルは釣りを存分に満喫し、二時間はあっという間に過ぎ去った。 「カイル、そろそろランチを食べに戻ろうか」 釣ったバスを水へ逃がしながら、トラヴィスがカイルに微笑みかける。 その穏やかな笑顔を見ていると、カイルは昨日から今日にかけて自分の身に起きた出来事を、これ以上黙っていることができなくなった。 「トラヴィス……。帰る前に、少しここで話をしてもいいかな」 カイルは、トラヴィスと出会った翌日にケヴィンからキスされ、付き合いたいと告白されたこと。アレックスに触れられ、そのどちらをも完全には拒絶できなかったこと。そして、それでも自分はトラヴィスのことが好きなのだということ――。そのすべてを、正直に打ち明けた。 野池の傍に停めた車の中、トラヴィスはカイルの話を途中で遮ることも、眉を顰めることもなく、最後まで真剣な表情で聞き入っていた。 「僕は……もしかしたら、君たち家族と一緒に過ごすべきではないのかもしれない」 カイルは真実を打ち明けたことによる清々しさと、それ以上の後ろめたさを感じながら、絞り出すように最後の言葉を付け加えた。 「……カイル、それは違う。君は、私と……私たちと一緒に過ごすべきなんだ」 トラヴィスはカイルの顎に手を添え、今までにないほど真剣な眼差しでじっと彼を見つめた。 「私も、ケヴィンも、アレックスも……皆、君を選んだ。君はもう、すでに我々の『群れ』の一員なんだよ」 「……群れ? どういうこと?」 「実は、私たちは話し合ったんだ。君についてね」 トラヴィスはそう言うと、カイルの眉、鼻筋、そして唇を、愛おしそうに指先でなぞった。 「私たち三人は、すでに君のものだ。そして君も、私たち三人のものなんだよ」 「……わからないよ、トラヴィス。どういう意味……?」 「ゆっくり理解していけばいい。君は誰に対しても後ろめたさを感じる必要はないんだ。ただ、自分の欲望に忠実になればいい」 トラヴィスが顔を近づけ、深く唇を重ねる。 「ん……っ」 カイルはトラヴィスの話の内容をほとんど理解できていなかった。だが、今はそんなことはどうでもよかった。ただ目の前の男が与えてくる熱を、その舌の感触を追いかけることに必死だった。 家に戻ると、室内はしんと静まり返っていた。カイルはつい、トラヴィスに二人の息子の行方を尋ねてしまう。 「気になるかい? やはり君はもう、私たちの群れの一員だね」 トラヴィスはそう前置きして、アレックスは休日に町のコミュニティセンターで勉強を教えており、ケヴィンは今日一日、ソフィアと一緒に過ごしているのだと説明した。 「……じゃあ、今日は二人きりなの?」 カイルがキッチンでパスタを茹で始めたトラヴィスの背中を後ろからそっと抱きしめると、彼は満足げに笑って振り返り、カイルを腕の中に閉じ込めてその髪に鼻を埋めた。 「そうだ。ランチを食べた後は二人でゆっくり映画でも観よう。……その後はディナーの時間まで、ずっとベッドにいたっていい」 カイルはその言葉に頬を赤らめながらも、トラヴィスの胸の中でこっくりと頷いた。 トラヴィスの言葉通り、映画を観終わった後――正確には映画の途中から、二人はすでに全裸だった。気づけば昼過ぎから夕方になるまで、片時も離れることなくトラヴィスの寝室で愛し合っていた。 トラヴィスは50代前半とは思えない体力の持ち主で、カイルを4回射精させ、彼自身も3回果てた。トラヴィスはありとあらゆる体位でカイルを喘がせ、時に激しく、時にはじっくりゆっくりとカイルのすべての性感帯を徹底的に責め、カイルを快楽の深淵に沈めた。 やがて窓の外がすっかり暗くなった頃、部屋にトラヴィスのスマートフォンの着信音が鳴り響いた。 その電子音は、夢のような時間から二人を現実へと引き戻す合図のようだった。 トラヴィスは数秒ほど相手と言葉を交わすと、すぐにカイルの方を向き、「やりすぎたな……」といたずらっぽく笑って、その額に音を立ててキスをした。 「……今のはアレックスだ。今夜はセンターの職員と食事を済ませてから帰るらしい。どうせケヴィンも戻らないだろうし、体を綺麗にしたら、少し早めの夕食にしよう」 「……うん」 カイルはトラヴィスの言葉に頷きながらも、今日はもうあの二人に会えないのだと悟り、言葉にするのには難しい、寂しさに似た何かを感じていた。 早めの食事を終えトラヴィスと再び寝室に戻ると、さっきまでのマラソンセックスがリセットされたかのように再びトラヴィスはカイルを激しく求めた。 もちろんそれはカイルも同じで、まるで明日がないかのように二人は交わった。そして数時間後、その底知れない渇望が満たされると、二人は泥のように眠りへと落ちていった。 その日の深夜、カイルは胸の上にかかる重圧にうなされて目を覚ました。 トラヴィスの腕だろうかと思いながらうっすらと目を開けると、驚いたことに自分の上にあの白いオオカミがのしかかっていた。 月光のような黄色の瞳が、至近距離でカイルをじっと見つめている。 「……っ!」 カイルは驚きで声を詰まらせ、寝ぼけた頭で必死に思考を巡らせた。 これはまた、あの黒いオオカミの時と同じで、すべて夢なのだろうか。もしかしてトラヴィスが白いオオカミになったのか?そんな馬鹿な……と隣を確認すると、そこには変わらず安らかな寝息を立てて眠るトラヴィスの姿があった。 「君は……あの時の、白いオオカミだよね?」 カイルがおそるおそる手を伸ばすと、狼は拒むどころか彼の手を愛おしげに舐め始めた。その温かな感触に緊張が解け、カイルは狼の耳のあたりを優しく撫でる。 「君は……どこから来たの?」 答えが返ってくるはずもないのに、カイルは尋ねずにはいられなかった。両手でその頭を抱きしめるようにして撫でてやると、狼は気持ちよさそうにうっとりと目を閉じた。 「君はいい子だね……。本当にかわいい。何しにここへ来たんだい? まさか、僕に会いに来てくれたの?」 カイルは子犬に語りかけるような甘い声で囁きながら、その白くふさふさとした毛並みの感触を思う存分堪能した。やがて、その温もりに包まれて、再び眠気に襲われ始めたカイルだったが――突如として狼の重みが増し、柔らかな毛の感触が、人間の肌の質感へと変貌した。 カイルは、はっとして目を開ける。 「そうだよ。だって、君がまた会いたそうな顔をしていたから」 そこには白いオオカミではなく、不敵な笑みを浮かべたケヴィンがいた。 「ケヴィ……っ!」 カイルがその名を叫ぶより早く、ケヴィンの掌が荒っぽくその唇を塞いだ。 「しっ、静かに。父さんが起きちゃうよ」 間近で囁かれる低い声に、カイルは心臓が止まる思いでこくりと頷いた。ケヴィンの手がゆっくりと離れるのを待って、「もう……叫ばないから」と消え入るような声で約束する。 「会いたかったよ。今日一日、ずっと寂しかった」 ケヴィンはそう言うなりカイルを力任せに抱きしめ、その首筋に顔を埋めた。まるで獲物の味を確かめるように、深く、何度も鼻を鳴らして匂いを嗅ぎ始める。 ケヴィンは全裸だったため、カイルは薄いシーツ越しに彼の勃起したペニスを感じ、思わず身をよじった。その拒絶ともとれる反応に、ケヴィンは傷ついたような、悲しげな表情を浮かべる。 「……本当に嫌なら、今すぐ俺を突き放して。ぶん殴ったっていいよ」 「……嫌じゃない。嫌じゃないんだ、けど……」 カイルが言葉を紡ぎきる前に、ケヴィンは飢えた獣のようにその唇を塞いだ。 「ん……っ」 深いキスの余韻の中、ケヴィンは熱を帯びた吐息とともに囁いた。 「カイル……今夜は俺のために啼いてよ」 ケヴィンはカイルの唇の隙間に舌をねじ込むと、美味しいおやつを手に入れた犬のように必死で口内を舐めまわした。 その激しさにカイルのペニスはぴくぴくと動き、すぐに彼が感じていることを察知したケヴィンはゆっくりとシーツをめくると、カイルの身体に自分の身体を密着させた。 カイルも裸のまま寝ていた為、すぐに二人の硬くなったペニスはこすれあい、キスの興奮もあいまってすぐに涎が流れ始め、にちゃりといやらしい音を立て始めた。 ケヴィンは唇から名残惜しそうに離れると、今度はカイルの首筋をベロベロと舐めはじめ、鎖骨を甘噛みし、さらに胸筋の間のくぼみに舌を沿わせ横に移動すると、カイルの乳首を舐め始めた。 「あ……ケヴィン……」 思わず甘い声がもれたが、隣にトラヴィスがいる事を思い出し、カイルは自分の手で口を塞ぐ。 ケヴィンはそんなカイルの様子を見てますます集中的にその突起を責め始めた。 舌先で突くようにした後、硬くなった乳頭を味わうようにゆっくりと丁寧に舐めると、まるでそこから母乳でも吸い出すかのように乳輪ごと吸い始めた。ケヴィンはわざと音をたてて激しく吸い、静かな部屋にいやらしい音が響く。 快感に体をよじるカイルに体重をかけて抑え込み、反対の乳首にも同じようにねっとりと舌を這わせ何度も吸い付くようなキスをし、その突起を舌先で何度も転がした後、情熱的に吸いだした。 「……っ」 その間、先ほど十分愛撫された反対の乳首は人差し指と親指で摘ままれ、こねるようにマッサージされていたせいで、カイルの頭は真っ白になる。 次の瞬間、カイルは口を塞いでいた自分の指を噛みながら、静かに射精した。 「……ケヴィン……ああ……」 ケヴィンは自分の腹に飛び散ったカイルの精液を指で拭うと、まるで生クリームのようにぺろりとそれを舐めた。 「乳首を吸われただけでイっちゃうなんて……可愛いね……」 まだ呼吸の荒いカイルの唇に優しくキスをすると、ケヴィンはカイルをうつ伏せにひっくり返し、お腹の下に手をいれ、腰を浮かせた。 「こっちも舐めてあげる……」 ケヴィンはそう言うとカイルの尻をゆっくりと揉みながら、目の前の入り口に舌を這わせた。 最初は穴の周り焦らすようにゆっくりと舐めていたが、トラヴィスのおかげでもう十分にほぐれていることを悟ったケヴィンは、遠慮なく舌を押し込んだ。 ケヴィンの予想どおり、カイルは安々とケヴィンの舌を受け入れる。 「あ……ケヴィン……」 カイルは漏れる声を抑えようと、枕に必死に顔を押し付け、快楽の波をやり過ごそうとする。 「……父さんのおかげなのは少し腹立たしいけど、すぐに君の中に入れるね……」 ケヴィンはカイルの中から舌を引き抜くと、代わりに自分の燃え滾る塊を窄みに当てた。 先端を少しだけ入れると、すぐにそれを引き込もうとするカイルの貪欲なそれを見つめながらケヴィンはくすりと笑った。 「可愛い子……どうしたい?」 ケヴィンは、わざとカリの部分まで入れて出す。それをゆっくりと何回も繰り返してカイルを焦らした。そして上体を倒すとカイルの背中にぴったりと自分の身体をくっつけ、カイルの耳元で囁いた。 「ねえ……俺に入れてほしいの?俺がほしい?ちゃんと言って?」 カイルはその甘えるような切なげな声に抗えず、隣にトラヴィスがいる事も忘れ、大きな声で訴えた。 「お願い、ケヴィンが……君が欲しい……!」 カイルの理性をかなぐり捨てたその必死な言葉に、ケヴィンは、すぐにカイルの中に一撃で挿入した。 ケヴィンは想像以上の狭さと熱さに、すぐにでも果ててしまいそうだったが、一秒でも長くこの瞬間を楽しむために、必死でこらえていた。 ゆっくりと浅い出し入れを繰り返し、カイルの襞の一つ一つを感じたくて何度も途中で止まっては再び動き出す。 ケヴィンは何度も「くそッツ……ああ……」とカイルの耳元で呻いた。 カイルは、ケヴィンのその変則的な腰の動きと、耳元で聞こえる彼の必死な息遣い、それだけでまた自分のペニスから涎が流れ落ちるのを感じた。 「カイル……だめだ……こんなの我慢できない……」 ケヴィンはいよいよ限界が近づき、目的を持って腰の動きを速める。部屋には互いの肉が激しくぶつかり合う音が響き始めた。 二人はこの瞬間、隣のトラヴィスのことなど全く頭になく、互いの快楽だけを求めていた。 「あ……あっ……ケヴィン」 ケヴィンはカイルの甘い呻き声に刺激され、さらに激しく突き上げ始めた。 両肩を後ろから掴まれがっちりと固定されたまま、腰だけ激しく打ち付けられる。 ケヴィンの先端は、その都度カイルのスイートスポットを擦り、カイルのペニスはベッドシーツとの摩擦で刺激され、前後から同時に与えられる快感でカイルは瞼の裏がチカチカし始めた。 「ああ、ダメ……もう……いく」 「俺もだ……君の中でいくよ……君を妊娠させてやる……ッ」 そして、ケヴィンは背後からカイルの肩を齧りながら彼の中に吐き出した。 その直後、彼の唸り声を耳元で聞きながら、同時にカイルも果てた。 カイルはケヴィンの脈動を中に感じながら、温かい液体が太ももを伝う感触に震え、ケヴィンの背徳的な言葉を思い出し、もし自分が妊娠できたらケヴィンはソフィアと結婚しなくてもよかったのに……などと薄れゆく意識の中で考えていた。 それはそれは、カイルにとってなんとも刺激的で奇妙な夢だった。

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