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第12話 シンデレラ⁈

 クラブはもうその話で持ちきりだった。 「ホントに嫁さん探しだってわかったのかよ。」 「ガセじゃね?」 「今どき、玉の輿?」  別の水面下で動きがある。 剛があのバーテンダーとデートの約束を取り付けた。 「君か、いつもカッコいい人たちと一緒だね。 僕とデートしたいって? 嬉しいね。」 「嬉しいだなんて、こちらこそ。 バーテンダーのあなたはいつがお休みですか?」  あの日、剛は一人でホテルのバーに行った。 長い漆黒の髪を束ねて、彼は剛を見つめる。その瞳は大人の雰囲気を湛えて深い。 「僕の事、知ってるの?」 「いえ、あまり。バーテンダーだとしか。 お名前を教えてください。お年は? え、と、男じゃダメですか?」 「おもしろい人だな。僕も男だろ?」  カウンター越しに顎を掴まれて顔を見つめられた。長い指がセクシーだ。  背が高くてカウンター越しでも手が届く。思った通り素敵な人だ。男っぽい。  この人に抱かれたい。男はダメかな? 「僕はゲイに見えたかい?君はゲイなの? 違ったら激怒する案件だね。」 「ち、ちがうんですか?」 彼はフッと笑った。 「君はいくつ?」 「25才です。」 「そう、僕は35才だ。僕の部屋に来るかい?」  ホテルの部屋かと思ったら、連れて行かれたのは特別なエレベーターだった。特別なフロアにしか止まらない。  彼はスタッフに軽く挨拶してバーテンダーを交代すると、剛をこのエレベーターに連れて行った。 「僕は屋上のペントハウスに住んでいるんだよ。」    それからの事は夢のようでよく覚えていない。 覚えているのは筋肉質ですごい身体をした整った顔の彼の事だけだった。  ジャグジーバスがあった。服を脱がされて泡だらけのバスに抱かれて入った事だけ。  すごい速さで状況は一転して、慣れたやり方で裸にされたのだった。 「おいで、僕の胸に。」  優しく抱かれてくちづけをされた。何もかも酔わせるような甘いお酒の味がした。 「初めてなんだね。可愛い。」

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