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第17話 東浪見
あれから有人は何の連絡もない。
剛は自分が一晩だけ遊ばれたのを知った。
クラブに集まっても、あのパーティの話を聞いても、興味がわかなかった。
みんな、あのパーティの話ばかりしている。
「結局お嫁さんは見つかったの?」
女の子たちは嫌な顔をする。
「だって、あのナマズみたいな男が相手だよ。」
「やだぁ。」
「やめなよ。失礼だよ。」
まじめなミレイが言った。
剛はミレイと話すのが好きだ。いつも的確な言葉が返ってくる。人をバカにしない。最後まで話を聞いてくれる。
「でも、一瞬シンデレラになれるかも、って思ったよ。」
「ギャハハ!ウケる。」
「騒がしい女たちだ。」
勝利が苦々しい顔をする。
しばらくこれといった動きはなかった。
剛にフラれてからの航の動きは早かった。大学も辞めてしまった。籍だけ残っていたのは親が学費を出していたからだ。もったいない事をした。
「航は引っ越しちゃったんだね。
遊びに行ってみようか?」
剛と勝利が実生たちに声をかけた。
航は田舎町で家業の和菓子屋を手伝っている。手伝うと言っても、大きな工場は完全に自動化されて、人間は目視で確認するだけだった。
「工場見学でもするかい?」
「いや、航がまじめに家の仕事手伝ってるなんて思わなかったよ。」
「工房で菓子職人が手作りの上生菓子を作ってる。尊敬する仕事だ。俺なんか真似できないよ。」
殊勝な事を言う航に驚いた。
「海岸に行ってみる?サーファーがたくさんいると思うよ。釣ヶ崎海岸。オリンピックの会場になった。海に向かって鳥居が建っているのがカッコいいよ。」
海岸は混雑していた。
「ここで、これ見良がしにボードを出すのはダサいな。観光客用だな。」
「うん、いつもは東浪見に行くんだ。あっちの波が好きだ。ロングライドが出来るんだよ。」
海岸の賑わいを離れて国道沿いにおしゃれなカフェがたくさんある。街並みがまるでカリフォルニアの雰囲気だった。
航は家業を手伝いながら、サーフィンをやる毎日だった。
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