19 / 48
第19話 王子様⁈
「今日は、一緒にランチを、とお誘いしました。
剛くんは僕の友達だけど、妹さんは突然で驚かれたでしょう。
パーティの招待状を準備しているときに、皆さんのご家族の写真を見る機会がありました。
兄がどうしてもお近づきになりたいと申すもので、お手紙を差し上げた次第です。」
バーテンダーは接客に慣れているのか一方的に有人がしゃべった。
妹がまた,小声で
「お兄さんも素敵。ちょっと違うタイプ。
でも、どちらもいいわ。」
「雛、失礼だよ。」
ウェイティングスペースからダイニングテーブルに案内されて大仁と妹は隣同士になった。
剛は有人の隣。大仁と向かい合わせになった。
「雛さんはお酒飲めますか? アペリティフ。」
「はい、二十歳になりました。頂きます。」
食前酒のマデラワインが運ばれてきた。
(大丈夫かな? 雛は酒なんか飲めるのか?)
剛はハラハラする。緊張して妹の分までワインをがぶ飲みした。
次々に運ばれてくる料理は美味しかった。
イタリアンだ。初めにレタスと玉ねぎ、アボカドのサラダ。イタリアンドレッシングのサッパリした味が美味しい。
スープがわりのパスタは冷製でトマトが甘い。
次に海老ときのこの温かい一皿。
メインはサルティンボッカ。ハムと薄切りポークの間にバジルが挟んである。絶品だ。
ドルチェは、ピスタチオアイスクリームとパンナコッタの盛り合わせだった。
最後に苦いエスプレッソがとてもよく合う。
「珈琲が来たのでおしゃべりしましょう。」
それまで口数少なく食事していたのに,有人が冗舌になった。
「大ちゃんは剛くんにお話があるんでしょう?」
兄の大仁は、有人より2才年上だと言う。
「僕は剛くんとお付き合いしたいんだ。」
妹がびっくりしている。
「えっ、お兄ちゃんと?」
「えっ、俺?」
二人同時に驚きの声を上げた。
それから剛は,有人の顔をまじまじと見た。
(何で? この人は俺を兄とくっつけようとしてるのか?)
有人の顔を睨みつけてしまった。有人は俺から目を離さない。見つめあってしまった。
(何か、まずい状況じゃないのか?)
ともだちにシェアしよう!

