22 / 48

第22話 いつものクラブ

 剛は,自分に何もないことに気づいた。いつものクラブにみんな集まってくるけどもう航はいない。心の中で、航の不在は、まるで大きな穴になっている。  一番後から仲間になった。剛はみんなと幼馴染でもないし、同級生でもない。  懐かしがる学校の思い出もない。 「剛、元気ないね。 実生がハワイに行く計画を立ててるよ。  航も誘って行こうぜ。」  勝利が声をかけてくれる。 DJタイジの選ぶ,心地良い音楽に身体を揺らしてるのがいい。 「また、みんなでハワイに行きたいね。」  クラブに青木大仁が入って来た。 馴れ馴れしく剛の隣に座る。後ろに有人が控えている。イケメンの二人は酷く目立っていて、剛は逃げ出したい。 「会いたかったよ。剛って呼んでもいいかい?」 「いやです。親しくもないのに。」  離れた所で女の子たちがざわついている。 「ねえ、あの人カッコいいけどあのホテルのバーテンダーよね。」  沙也加が言った。 「ホントだ。 あの隣にいるのはパテックフィリップ男?」 「うそ!ホント⁈」 「あんなにカッコいい人だったっけ?」  二人とも背が高くてスマートだ。有人は長い髪を後ろで束ねている。たまにおくれ毛を手でかき上げるのが堪らなくセクシーだ。  大仁は無造作に緩く伸ばした髪を後ろに流して、これもまたカッコいい。 「あの人、あんな感じだった?」 「あの時はわざとナマズだったのね。 メイクの力ね。」  由里亜が 「あの人ならお嫁さんになりたいわ。 ホテルのオーナーなんでしょ?」  ミレイがたしなめる。 「みんな、聞こえてるよ。恥ずかしいなぁ。」 「あたし、声かけてみる。」  莉里がまた抜け駆けしようとする。 「なんか変だよ。あの剛って言う人、嫌がってるみたい。」 「もったいない!」

ともだちにシェアしよう!