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第23話 仲良し兄弟⁈
「有人はどう思ってるの?」
剛は有人の気持ちに縋りたい。さっきから大仁がしつこく誘う。
「これから僕の伊豆の別荘までドライブしよう。」
大仁が何度も言ってくる。
「有人は俺が行ってもいいの?」
悲しそうな顔をして見つめるだけの有人。
(僕は大仁には逆らわない、絶対に。)
幼い頃、青木家に引き取られた時から、有人は自分を戒めて来た。
大人になってあのペントハウスに籠るまで自分の居場所は無かった。
大仁は優しかったがキッチリと線を引かれた。
「おまえは妾の子だ。」
面と向かって言われなくても心に突き刺さる。
本妻の大仁の母親が有人を嫌っているのがわかる。大仁の母親が
「アンタの母親は泥棒なんだよ。」
子供の頃からいつもいつも言われ続けた。
何不自由なく育てた、と青木正嗣会長は言うが、
何もわかってない。
屈折した育ちが、有人の人格を形成した。
憎しみをぶつけられながら一緒に育つのがどんなにおかしな事か会長には分かっていなかった。
子供の頃の大仁の無神経さ。無邪気に有人の大切にしているものを取り上げる。悪気なく当たり前に取り上げて、壊すのだ。
有人のクールで冷たい印象はこの環境が作った。
「あなたは我慢しなさい。大仁がそれを欲しいと言ってるから、譲りなさい。」
取り上げて飽きたら返してくる。いつも壊れている。
有人の母親は、有人を捨てた。
幼い頃にこの鬼の棲み家に有人を捨てた。
本妻が嫌うから母は遠ざけられた。
「僕も連れて行って!置いて行かないで!」
泣いて縋っても置いて行かれた。
子供心に、女は裏切るものだ、と刻まれた。
幼い心を抉るように刻まれたのだ。
有人は女を抱けない。愛せない。醜いモノに感じる。
「大仁、無理矢理はダメですよ。
愛されなさい。」
大仁は剛に向かって
「剛は有人を愛したんだろう?
いやだ!許せない!
パパが言ったんだ。有人が最初に試してから
僕にくれるって。ずるいよ。有人を愛さないで。」
(こいつ、何言ってるんだ?
気持ち悪い。性格がナマズだ。)
大仁を冷たい目で見ている有人の顔が悪魔に見えた。
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