29 / 48
第29話 酔っぱらい
ミレイはジンベースのカクテルを何杯も注文した。榊の肩にもたれかかって
「ウ〜、気持ち悪い。」
「飲み過ぎだよ。ジンフィズはレモンスカッシュじゃない。半分ジンだからね。」
「4杯飲んだだけよ。トールグラスだけど。
私、明日、普通に出勤なのに。」
榊が送っていく羽目になった。
タクシーに乗り込んだ所でミレイは熟睡してしまった。
「家、どこだよ。
どこに送って行けばいいんだよ。」
榊は困ってしまって自分のマンションに連れて帰った。クラブの蓮司にメールする。
返信は
「家、知らない。おまえの所に泊めてやれ。」
だった。
「冗談じゃねえよ。女、連れ込んだ事ねえよ。」
榊はずっと、あのパーティで一回寝た女を忘れられなかった。泳ぐのが上手いスマートな彼女。
連絡先も聞かなかった。あえて調べようとも思わなかった。運命に任せる。
榊誠は意外と純情な男なのだ。
「縁があれば、またきっと会える。」
そんなことを信じて、今は仕事一筋だった。
学生の時に起業した。IT企業と言っても、システムエンジニア。休み無しだ。一人社長は24時間営業なのだ。
AIを使ったウェブページの作成は、著作権法と睨み合いながらの作業だ。
AIは人では無い。ただの演算機械だ。
それでも頼ってしまう。話しかけてしまう。
それほど孤独な作業だった。
「ここはどこ?」
「ああ、姫のお目覚めかい?」
ミレイは飛び起きて
「あなたの家? 私に何かした?」
「ひどいな。
あのまま、街に捨ててくれば良かったのか?
俺は酔っ払いに、何かする趣味はねえよ。」
「あ、ごめんなさい。
すごく頭が痛いし、気持ち悪い。
仕事に行かなくちゃ。」
「起きられるか?」
「無理みたい。」
「二日酔いは眠るのが一番なんだ。
もう少し眠ったら?
心配しなくても、俺は何もしないよ。
隣の部屋で仕事してるから。」
「ありがと、もう少し眠らせて。
起きたらバス使わせてね。
ヤバい、お化粧も取らないで寝たのね。」
榊が手渡す水のペットボトルを受け取り、
また、眠ってしまった。
榊は
「わあ!仕事にならない。集中出来ない!
なんだあの娘は?無防備すぎて俺が振り回されてる。」
ともだちにシェアしよう!

