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第29話 酔っぱらい

 ミレイはジンベースのカクテルを何杯も注文した。榊の肩にもたれかかって 「ウ〜、気持ち悪い。」 「飲み過ぎだよ。ジンフィズはレモンスカッシュじゃない。半分ジンだからね。」 「4杯飲んだだけよ。トールグラスだけど。 私、明日、普通に出勤なのに。」  榊が送っていく羽目になった。 タクシーに乗り込んだ所でミレイは熟睡してしまった。 「家、どこだよ。 どこに送って行けばいいんだよ。」  榊は困ってしまって自分のマンションに連れて帰った。クラブの蓮司にメールする。  返信は 「家、知らない。おまえの所に泊めてやれ。」 だった。 「冗談じゃねえよ。女、連れ込んだ事ねえよ。」 榊はずっと、あのパーティで一回寝た女を忘れられなかった。泳ぐのが上手いスマートな彼女。  連絡先も聞かなかった。あえて調べようとも思わなかった。運命に任せる。  榊誠は意外と純情な男なのだ。 「縁があれば、またきっと会える。」  そんなことを信じて、今は仕事一筋だった。 学生の時に起業した。IT企業と言っても、システムエンジニア。休み無しだ。一人社長は24時間営業なのだ。  AIを使ったウェブページの作成は、著作権法と睨み合いながらの作業だ。  AIは人では無い。ただの演算機械だ。 それでも頼ってしまう。話しかけてしまう。  それほど孤独な作業だった。 「ここはどこ?」 「ああ、姫のお目覚めかい?」  ミレイは飛び起きて 「あなたの家? 私に何かした?」 「ひどいな。 あのまま、街に捨ててくれば良かったのか?  俺は酔っ払いに、何かする趣味はねえよ。」 「あ、ごめんなさい。 すごく頭が痛いし、気持ち悪い。 仕事に行かなくちゃ。」 「起きられるか?」 「無理みたい。」 「二日酔いは眠るのが一番なんだ。 もう少し眠ったら?  心配しなくても、俺は何もしないよ。 隣の部屋で仕事してるから。」 「ありがと、もう少し眠らせて。 起きたらバス使わせてね。 ヤバい、お化粧も取らないで寝たのね。」  榊が手渡す水のペットボトルを受け取り、 また、眠ってしまった。  榊は 「わあ!仕事にならない。集中出来ない! なんだあの娘は?無防備すぎて俺が振り回されてる。」

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