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第30話 昨夜のこと
昨夜はみんな自然にカップルになってそれぞれ送って行ったらしい。
成湫は莉里を。実生が沙也加を。由里亜は蓮司が。
そして榊だけが、ミレイを不本意ながらお持ち帰りしてしまった。
送って行っても意外にドラマは起きない。
成湫は莉里を送って行った。
「前にあたしと寝たの覚えてる?」
「ああ、引っぱたかれて思い出した。
なんであれっきりだったの?
俺、連絡くるの待ってたんだよ。」
「上手いな、話作るの。
でもあのあと,沙也加と付き合ったんでしょ?」
「ああ、でも沙也加とはセックスしてないよ。
彼女はいろんな約束したがるんで嫌になったんだ。結婚とか迫られて。」
「それを沙也加の友だちのアタシに言っちゃうの、最低なんですけど。」
「あ、そうだね。ごめん。」
「じゃあね。帰るわ。この家だから。
送ってくれてありがと。もう二度と会わない。
バイバイ。」
成湫はしょんぼりと帰って来た。
「フラれた!恥だ。もう奴らに会えない。
はじー!」
布団を被って頭を抱えた。成湫にはいい薬だっただろう。
実生は沙也加を家まで送った。もう朝に近い。
母親が出て来たので実生は思わず挨拶した。沙也加の家では無断外泊は大問題だった。
「うちの娘を嫁にもらってくださるの?」
「ママ、何言ってるのよ。」
「今度、父親のいる時に出直していらっしゃい。
日取りを決めましょう。お名刺頂けるかしら。」
「は?」
実生は手伝っている父の不動産会社の名刺を差し出した。一応、実生は営業次長になっている。
「ママったら、いきなり何言ってるの?
実生は帰って。」
「はあ、それでは失礼します。」
(何か、とんでもない誤解が一人歩きしている。)
蓮司は由里亜を送って行った。
「ありがと、またね。お店に行くわ。」
「毎度ありがとうございます。
お待ちしています。」
そんな訳でいつもの遊び人の男たちは、何も手を出さないまま、女の子を送っただけだった。
みんな集まった時、自然と報告になった。報告するほどの事は何も無かったのだが。
「俺たち、超紳士じゃね?」
「ていうか、ヘタレ、だな。
据え膳食わぬは男の恥,って言うだろ。
みんな惨敗だったのか?」
「意外と俺たち純情なんだな。」
「もっとワル、になりたいよ。
ダサくね、俺たち。」
「榊は食うときは食っちまうだろ。
あの水着美女とか。
ミレイはタイプじゃなかったの?」
「すごい、タイプだ。まじめで。好きなタイプ。惚れたな。」
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