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第34話 有人と二人
車に乗っている。有人の運転する車。
有人の他に乗っているのは剛だけだ。
「どこへ向かってるの?」
「キミと二人に、なれる所。」
さっきまで大仁を殴っていた手が痛い。
「大仁は?」
「雛ちゃんを送って行った。」
「有人の恋人は?」
「玲於奈は恋人じゃない。」
剛は少しホッとしている自分が許せない気持ちになった。
路肩に車を停めて有人がキスしてきた。
「何するんだよ。」
抵抗しながらも力を抜いた。嬉しかった。
首に抱きついてキスを返す。思いのほか情熱的なくちづけをした。顔を離して笑う有人。
「俺、ずっと待ってたんだ。」
「今日は素直なんだな。
2人になれるところへ行こうぜ。」
車を出して、東名高速を西に走った。
大きな船の形のホテルに入っていった。
車を降りて,慣れた物腰で部屋を選ぶ。
「どんな部屋がいい?」
「えっ?知らないよ。」
「これから抱かれるんならどんなシチュエーションがいいかな?」
明かりのついた看板に部屋の様子が映し出されている。
「あ、バリハイだって。バリ風がいいな。」
「オケ!バリね。」
手を繋いで回廊を歩いて行った。バリハイと書かれた表札の大きな扉を開けると、そこは夜の海だった。錯視を狙ったジオラマか。
小さなプールを迂回して、茅葺き屋根のコテージに着いた。
ドアを開けると天蓋付きの大きなベッド。
奥に広いジャグジーがある。
「プールで泳げるかな?」
「水が冷たいよ。」
ベッドに腰掛けてシャツを脱がされた。Tシャツを捲り上げて裸の胸に舌が這う。ビクッとしてしまう。
「有人も脱いで。」
スリーピースの上着を脱いでベスト姿の有人は大人っぽくて素敵だ。ベストのボタンを外す。
「ネクタイは?」
「上着のポケット。早く剛を抱きたくて外した。」
目を見合わせて抱きしめられた。
「この前の伊豆の海はどうだった?」
「覚えてないよ。あなたしか見てなかったから。」
有人は笑って剛を裸にした。
「プールは寒いから、ジャグジーに入ろう。」
(何で、ここの事、詳しいの?)
剛は女々しさ全開だ。
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