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第38話 航

「よおっ、航、久しぶりだね。 和菓子上手くなったか?小豆の煮方とか。 あ、航もハワイ行けるんだ。 ハワイもみんなで行くのは久しぶりだ。」 「勝利も行くだろ、実生が企画したから、またみんなで行ける。」  予定が合うやつだけで実生が計画した。 いつものメンバーに女の子も数人誘った。 「エロい事考えるなよ。 女子には紳士で、ね。特に成湫。」 「何で俺だよ。」 「前科持ちだ。手が早い。」  剛が黒服姿で航に挨拶に来た。 「いらっしゃい。」 「剛、似合ってるね、蝶タイ。」 「航はどうしてたの?」 「うん、忙しかった。 剛に会いたかったよ。」  二人顔を見合わせて、しばらく見つめ合った。 どんな言葉より多くを語る瞳。航の顔を見るとすごく懐かしさが溢れてきた。  ほんの数ヶ月、会わなかっただけなのに、見慣れたはずの航の顔が眩しかった。 「少し日に焼けた?」 「九十九里,舐めんな。陽射し強いんだよ。 スペインみたいだ。」 「スペインの陽射し?行った事あんのかよ?」 「ねえよ、全然無い。」 「適当だな。」 「女も一緒に行くって?」 「おんな、って言う言い方。酷くない?」 「あ、ごめん、興味ないから。」 「航はそうだよな。剛とはどうなの?」  勝利に聞かれた。 「会ってないのを知ってるだろう。  何もないよ、な。 剛はあの有人って奴にゾッコンなんだろ。」 「航は地元で恋人とかいないの?」 「いないよ。修行僧だ。」 「俺と付き合う?」 「勝利は今、相手いないの?」 「俺、好みがうるさいからね。」  勝利はゲイだ。誠意のあるゲイで恋人を大切にする。その世界ではモテ男だ。 「剛は夜職、合ってるな。航はどう思う?」 「家を出たんだって、ね。」 「航はそれでいいのか?」 「今度のハワイ行きが楽しみだ。 剛とあの男を引き離せる。」  航はずっと剛を思っていた。離れて尚更気持ちが募った。 (こんなに剛が好きだったのか?)  航は自覚がなかった。軽い気持ちで引っ越したが、剛に彼氏が出来て一緒に暮らすようだ、と聞いて気持ちが焦る。勝利が 「俺に話しても、剛には伝わらないよ。 直接言えよ。」 「蓮司に止められた。絶対やめろって。 剛はもう有人のもの、なんだよ。」

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