47 / 48

第47話 価値観

「媚薬のせいじゃないよ。 こんなに何回もやりたくなるのは剛だけだ。 離さないよ。帰って来てくれ、あのペントハウスに。」  有人の約束は信じられない。 「ジミーは?」 「彼はもう大仁のものになったよ。 乗り換えられた。」 「有人たちのそういう所が嫌いだ。 今だって薬が醒めたら、もう俺の事、いらなくなるよ。」  大仁たちはプライベートビーチのテラスから、流れて広い特別室に移動した。  乱交パーティだ。このホテルは五つ星だが、 バカ息子が品位を貶めている。  ハワイの遊び人たちには有名な、人気の大仁のパーティ。  乱交に男も女もない。みんな淫らなセックスの真っ最中だ。  パーティの招待客にも、乱交になる前にそれとなくお帰り頂くか、参加するか、は事前に耳に入れてある。  大仁の子飼いの優秀な支配人がいる。ホテルのグレードを落とさずに、大仁のわがままを実行してくれるのだ。  近頃アメリカやヨーロッパの富裕層を震撼させているE島のスキャンダルを彷彿させるが、そこまで悪質ではない。  子供を巻き込まない。女性を売り買いしない。もちろん男性もだ。決して無理強いしない。  参加者は成人のみで、自分の意思である事、が絶対条件だ。非合法では無い。  それでインターナショナルホテルの大仁主催のパーティは人気があるのだ。  基本はフリーセックス。大仁いわく、 「セックスってただの粘膜の摩擦行為ですよ。」  身も蓋もない。 「ボクは恋人なんて必要ないんだ。 いつも有人のものを横取りしたいだけ。 横取りして蹂躙したいだけ。 だって子供の頃から有人は生意気なんだよ。」  なぜ有人はそんな兄に付いているのか? やはり莫大な財産を引き継ぐ兄だからか?  そんな葛藤がある面倒なホテル王一族だった。 剛が知る由もない。  乱交パーティを開催するのは、顧客の弱みを握るため、と人間の欲望を嘲笑うため、だと大仁は公言してはばからない。 「悪趣味ねえ、あなた。」  半裸に近い衣装で綺麗な身体を見せつけながら、キレイが大仁に擦り寄っている。  こんな所にいたのか? 大仁がゲイとは知らずに、自分の魅力を過信している危なっかしいキレイだった。 「キレイちゃんなら、大広間のパーティにいたよ。気をつけて。乱交パーティらしいから。」  ミレイは心配して探しに来た。榊がエスコートしている。

ともだちにシェアしよう!