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第47話 価値観
「媚薬のせいじゃないよ。
こんなに何回もやりたくなるのは剛だけだ。
離さないよ。帰って来てくれ、あのペントハウスに。」
有人の約束は信じられない。
「ジミーは?」
「彼はもう大仁のものになったよ。
乗り換えられた。」
「有人たちのそういう所が嫌いだ。
今だって薬が醒めたら、もう俺の事、いらなくなるよ。」
大仁たちはプライベートビーチのテラスから、流れて広い特別室に移動した。
乱交パーティだ。このホテルは五つ星だが、
バカ息子が品位を貶めている。
ハワイの遊び人たちには有名な、人気の大仁のパーティ。
乱交に男も女もない。みんな淫らなセックスの真っ最中だ。
パーティの招待客にも、乱交になる前にそれとなくお帰り頂くか、参加するか、は事前に耳に入れてある。
大仁の子飼いの優秀な支配人がいる。ホテルのグレードを落とさずに、大仁のわがままを実行してくれるのだ。
近頃アメリカやヨーロッパの富裕層を震撼させているE島のスキャンダルを彷彿させるが、そこまで悪質ではない。
子供を巻き込まない。女性を売り買いしない。もちろん男性もだ。決して無理強いしない。
参加者は成人のみで、自分の意思である事、が絶対条件だ。非合法では無い。
それでインターナショナルホテルの大仁主催のパーティは人気があるのだ。
基本はフリーセックス。大仁いわく、
「セックスってただの粘膜の摩擦行為ですよ。」
身も蓋もない。
「ボクは恋人なんて必要ないんだ。
いつも有人のものを横取りしたいだけ。
横取りして蹂躙したいだけ。
だって子供の頃から有人は生意気なんだよ。」
なぜ有人はそんな兄に付いているのか?
やはり莫大な財産を引き継ぐ兄だからか?
そんな葛藤がある面倒なホテル王一族だった。
剛が知る由もない。
乱交パーティを開催するのは、顧客の弱みを握るため、と人間の欲望を嘲笑うため、だと大仁は公言してはばからない。
「悪趣味ねえ、あなた。」
半裸に近い衣装で綺麗な身体を見せつけながら、キレイが大仁に擦り寄っている。
こんな所にいたのか?
大仁がゲイとは知らずに、自分の魅力を過信している危なっかしいキレイだった。
「キレイちゃんなら、大広間のパーティにいたよ。気をつけて。乱交パーティらしいから。」
ミレイは心配して探しに来た。榊がエスコートしている。
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