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第52話 ジャンキー

 大仁は嫌な奴だが、サーファーの時のナルはまったく別人のようだ。  ナルと呼ばれて、大仁には熱烈なファンがたくさんいる。  翌日、午後まで眠った大仁は一人で目覚めた。 あの乱交の場でたくさんの取り巻きに囲まれて、好き放題やっていた大仁は、不完全燃焼の頭を抱えて出かける用意をした。 「クソッ、頭、痛てぇ!」  ボサボサの髪をかき上げてシャワーを浴びる大仁はきれいな男だ。背の高い広い肩幅、大胸筋がデカい。恵まれた容姿。男にも女にもモテる。  どうしてあんな歪んだ性格なんだろう。 子供の頃から有人と比べられる。表立って比べることはないが影ではみんな思っていただろう。  有人はいつも変わらず大仁の理解者だった。 そう、大仁は信じていた。  ハワイでの有人の部屋は、インターナショナルホテルのスイートだ。大仁が顔を出した。 「ここにしけ込んでたのか? 剛と一緒か。おまえたちばかりがいい思いをして。」  有人にはわかる。大仁はどこか壊れている、と。 「大ちゃん、なんかキメてない?」 「やってないよ。もうヤクには手を出してないよ。媚薬だけだ。」  せっかく爽やかな朝で、気分が良かったが、そばに誰もいない。そんな気持ちで有人を思い出した。 「おまえたちはいいなぁ。有人は剛と一緒で。」  部屋の中で一人で喋っている大仁に、目覚めた剛は驚愕した。 「こんにちは。大仁さんいつもと感じが違う。」 「いつもの僕ってどんなの?」 「あ、それは・・」 「みんなが見てるのはヤクやってる時の僕だな。」  有人が肩を抱いて優しく叩いた。 「大ちゃん、海、行こう。 大ちゃんは波乗りしてる時が1番かっこいいから。剛も行こうよ。車にボード積んで。」  大仁は素直に有人の言葉を聞いていた。 (大仁ってジャンキーだったのか? だからあんなにテンションが高いんだ?)  有人のボルボにボードを積み込んだ。 「ナルは波に愛されてるんだ。 大学がカリフォルニアだったから トレッスルズで波に乗ってたんだよ。」 「トレッスルズ?」  世界有数のサーフスポット。 2028年のオリンピック会場だよ。  ビーチボーイズの歌に出てくるだろ。 サーフィンUSAって曲。」 「古いな、そんなの誰も知らないよ。」

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