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第53話 不器用な男

 剛は昨夜の乱交パーティの大仁を知らない。 有人と2人きりで愛の夜を過ごした。  大仁はコカインとスピードで自分を誤魔化して から騒ぎをしただけだった。それで人を傷つけていても気にしない。 「ジミーと玲於奈に酷い事をしただろ?」 「酷い事?」  運転しながら話していた。有人が、なぜか大仁の男たちに詳しい。  運転している有人は素敵だ。 「有人、カッコいいね。運転上手い。」 「島を出ないでオアフの波で攻めるか? 車で行ける範囲だ。」 「アウトサイドならいい。アリ・ビーチに行こう。パイプライン狙いだな。」 「大ちゃんはタフだな。」 「そんなに酒、飲まないからね。」 「コカインって大丈夫なの?」 「ああ、たぶん。」  今の季節にしては波が立っていた。 大仁のライディングは、見るものを唸らせる。 ロコたちが目を離せない、と集まってくる。  波待ちで順番に乗るのだが、大仁がパドリングして行くとサッと人が引く。  ビーチの視線を集めて、ロングライドに拍手が湧く。  続いて有人と剛も海に入った。それなりに波に乗れて楽しい。 「ハーイッ、剛。」  ショーン・ロビンズがボードを抱えて仲間と歩いて来た。 「今日はナルが来てるって?」 「昨夜のホテルのパーティ、酷いもんだった。」 「二部の方だよ。後半。いつも乱れるって。 悪い評判だ。地元の奴は行かないよ。俺たちも。」  誰もあの評判の悪いパーティをやる大仁がナルと同一人物だとは気づかない。  有人もあえて言わない。  水を滴らせて海から上がって来た大仁と有人。 二人の精悍な姿が、見物人たちを魅了した。  剛も思わず見惚れた。 (素敵だ。さすが兄弟だな。二人ともカッコいい。)  航と勝利たちがやって来た。 「剛、来てたんなら声かけてよ。 スマホ持ってたでしょ。紹介してよ。友達?」  ショーン・ロビンズと地元の仲間たちが寄ってきた。カイとカノアとマノはサーファーだ。  ここでもナルの人気は絶大だ。 「伝説のナルだよね。 あのバンザイ・パイプラインで真冬にチューブに入った男。」 みんな握手を求めて集まってきた。 冬場に出来るデカいチューブ。それを自在に乗りこなす、ナルは伝説、だった。

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