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第54話 砂浜
サーフィン漬けの一日だった。ボードを砂に突き立てて、寝そべっている。
「キツいなあ。疲れた。健康的な疲れだ。
セックスのやりすぎで疲れるよりいいな。」
昨日のキレイが警察のお世話になった事がみんなの顰蹙(ひんしゅく)をかっている。ミレイが
「もうキレイとは別行動する。
一緒に出歩くと男がついてきてウザい!」
キレイは能天気で
「あたしは二日酔いだわ。
あのシャンパン,悪酔いする。」
媚薬入りのシャンパンがキレイの身体に残ってなければいいのだが。
「女子と上手くやってるのは誰だ?」
「一緒に外国にまできたのに、なんかロマンスが足りないな。」
榊はミレイといいかんじだ。成湫は莉里と沙也加に振り回されている。沙也加は実生にも気がありそうだ。
由里亜と蓮司は落ち着いた大人の距離感だ。ロマンスとは程遠い。
航と勝利はゲイだがカップルではない。
「ハワイって何か空気が違う。海も山も神様の息づかいが感じられる。」
「剛は有人のところにずっと行ってるね。」
「ああ、幸せそうだよ。」
一方、剛たちは砂浜で
「剛?どうした?何か心配か?」
「ううん、何でもないよ。」
剛は気づくと大仁を探している自分におかしな気持ちになった。
砂の上に寝そべって伸びている大仁は無防備で可愛い。有人が剛の顔を覗き込んだ。
「何か、気になる?
さっきから大仁ばかり見てる。」
「えー、そんな事無いよ。
サーフィンには見惚れたけど。
有人もカッコよかったよ。」
「いいんだ。僕はカリフォルニア仕込みじゃないからね。」
有人が何か、卑屈な言い方をしたのが違和感だった。
(いつも、一番美味しいところを大仁が持って行く。子供の頃からだ。
有人は我慢できるわよね、って言われ続けた。
剛がいると素直になれない。
クールな仮面が剥がれる。)
剛は、有人のちょっと悲しそうな顔が、素敵だと思う。
いつも我慢を強いられて来た苦渋に満ちた思いを無理矢理封じ込めている有人は、落ち着いていて、自分をさらけ出さない人間になった。
その憂いを秘めた顔が一段とハンサムに見える。
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