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第55話 陽が沈む

 サンセットビーチで夕陽を見ている。 「やっぱり、冬場の方がきれいなんだけど。 オアフでも、もっと高いところで見るといいんだよ。」 「ここでも十分すごいよ。きれいだ。」  有人の肩にもたれて甘える。見つめあって 「帰ろうか? ボードと大仁をピックアップしなくちゃ。どこ行ったかな。」  大仁は伝説のサーファーとしてファンに囲まれていた。 「明日も来る?」  ロコガールに囲まれて 「いや、わからない。」 「ホテルに行ってもいい?」 「いや、ダメだ。友達がいるから。」 「恋人は?」 「ああ、いるよ、たくさんね。」  ロコガールが抱きついて 「じゃあ、私も仲間に入れてよ。」  困っている大仁に,航たちが近づいて 「この後、俺たち一緒に予定があるんだよ。 今日は帰してよ。」  女の子たちは何か書いた紙を渡して帰って行った。自分たちのアドレスだ。 「あの、ありがとう。助かったよ。」 「あんた、ゲイなんだろ。」  航がそう言ってウインクした。新手のナンパか?と思われそうな態度だった。  落ち着いた受け答えをする大仁がすごく大人に見えた。バーテンダーとして接客している時の有人も大人の魅力ダダ漏れだが、大仁の経営者としての顔も、素敵だ。 「ボード積んで帰ろう。 冬場は波がいいんだけど、ウエットスーツが必要だな。常夏と言っても。持ってこなくちゃ。」  剛は、大仁と有人と年越しの頃また来たい、と思った。カウントダウンの時はそばにいる人と誰とでもキス出来るという話を思い出した。 「よし、十二月にまた来よう。」  「今夜は剛はコンドに帰ってくるのか?」  航たちに聞かれて代わりに有人が答える。 「今夜は僕が連れて帰っていいかな? いつ日本に帰るの? 僕たちも合わせて帰るよ。 チケットの手配しなくちゃ。」  大仁たちは、支配人がやってくれる。航が 「俺たちはオープンチケットだからリコンファームが必要だ。安いチケットだから。」 「まだそんなのあるんだ?  多くの航空会社で不要になりつつあるけど。 面倒なこのひとテマ。」  勝利がボソッと言った。  大仁と有人はいつもファーストクラスでゆっくり来るのだ。剛はなんだか窮屈な気持ちになった。

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