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第58話 アドバイス
有人は、いつもそばにいて大仁にさまざまなアドバイスをくれた。大仁には思い当たる事が多い。
「有人・・・」
「もう僕を頼らないで。」
剛は思い出した。あのバチェラーパーティの事を。
これ見よがしの高級腕時計を付けさせられた大仁。ナマズのような気味の悪いメイクで登場したのも有人の考えだった。有人は思う。
(笑い者にしたかった。僕は大仁が好きだ。
いつでも僕に頼ってくる。兄なのに可愛い奴だ。
ずっとこうして生きて来た。)
「有人。有人はお兄さんが嫌いなの?」
剛が聞く。
「剛を取り合ったから大仁は僕が嫌いかもな。」
剛には大仁はそんなに嫌な奴には思えない。
パーティであんな間抜けなメイクをさせられた大仁には可愛い所がある、と思う。
サーフィンの時は別格だ。意外だった。
今までいつも有人は従順だった。大仁の言う事は何でも聞いてくれた。そして的確なアドバイスをくれた。
「有人は僕のためにならない事はしないはずだよ。」
カウンターバーに有人がいる。
「剛、何か飲むかい?」
「う、ん。じゃあ、ギムレット。」
カッコよくシェーカーを振ってカクテルグラスを剛の目の前に置いてくれた。
(やっぱり、有人はカッコいい。
あなたしか見えない。)はずだった⁈
強い力で引き込まれる。有人は魅力のある男だ。じゃあ、大仁は?ただの間抜けな男なのか?
「大仁ってサーフィンやってる時はものすごくカッコいいよね。誰も寄せ付けない感じ。」
女子たちの噂。
タキシード姿で接客している大仁も素敵だ。
英語が堪能で外国のお客さんにも人気だった。
(あのクラブの連中はずいぶん健全だな。)
剛は懐かしい気持ちになった。
(航と過ごした時間。いつもゆっくり話を聞いてくれた。あの穏やかな日々が懐かしい。ほんの少し前の事なのに。)
エレベーターが最上階に着いた。屋上に行くのをやめてここで降りた。
(大仁に会えるかな?)
ドアが少し開いている。
「大仁?」
「ああ、剛?どうした?」
「うん、少し酔った。昼間なのに。
大仁は何やってるの?」
「夜のお客さんに備えて少し仮眠を取ろうと思って。どうぞ,入って。」
すごく綺麗で広いスイートルームだった。
扉が開いている。タキシードとスーツが何着もクローゼットにかかっている。
大仁が着ているのを見た事があるのが何着か。
「ここに住んでるの?」
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