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第65話 海を見ている

 航と歩いて東浪見の海岸に来た。今日はサーフィンをやらないで海を見ているだけだ。   並んで端に行って堤防脇で波を見ていた。 「波、いいのが来るね。」 「どこかで小さい台風が発生してるのかも。」 「波は地球の息遣いだな。 サーフィンやりたくならないか?」 「うん、でもこうして航と見てるだけなのもいいな。今日は仕事の邪魔しちゃったね。」  さっき、航の作った牡丹餅をいただいた。濃い緑茶がすごく合う。 「春は牡丹餅、秋はおはぎ、って言うんだよ。」 「すっかり和菓子屋の若旦那だね。」 「この頃、茶道も習ってるんだ。奥が深いよ。 武士の嗜みだったって。」  生き生きと語る航は見ていて気持ちがいい。 「なんか、航は変わったね。 明るい日の当たる所が似合ってる。」 「剛は、何か話があったんだろ? なんや、話聞こか?」 「あはは、大阪人か?」  剛は自分のいる所がいつも薄暗い場所だと気づいた。夜中に働く鼠?  太陽の下で思い切り波と戯れる暮らし。 (いつも航はそんなところにいるなぁ。)  思い出したのは大仁のサーフィン、大仁のライディングだった。誰もが目を奪われる見事なサーフブレイク。 (大仁にも太陽が似合ってた。 ナルと呼ばれている時の大仁。) 「剛はさっきから大仁の事ばかり話してるね。 恋してる人みたいだ。」 「えっ?そんなつもりないのに。」  自分がわからない。よるべない気持ちになる。 「そう言えば、勝利が恋人連れて来たよ。  すごく綺麗な子。」 「知ってるよ、ここにも来たから。 ドールだろ? 勝利の好み,ど真ん中だ。」 「なんだ情報、早いな。 いつも不思議に思うんだけど、航と勝利は付き合わないの?」 「ないね。ゲイだって言っても役割が違う。 勝利も俺も攻め、だから。 剛は完全に受け、だろ。」  そうだった。ゲイって案外、ハッキリ分かれてる。ドールはいかにも受け、だ。 「じゃあ、勝利は俺でも良かったのか?」 「剛はみんなが狙ってたからね。俺もだよ。」 「えっ?でも今は?恋人とか出来た? 地元のサーファーとか?」 「うん、まあね。 いろいろだ。」  航は剛に希望を持たせてくれてるのか? 剛はそれなりにゲイに狙われていた。

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