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第66話 眠る

 一晩中、黒服の仕事をしていたから、航の部屋に戻ってからシャワーを借りて、航のTシャツを借りて、眠ってしまった。  航の匂いのするベッドで気持ちよく熟睡した。 「今夜も店、あるんだろ? 仕事用の着替えはあるのか?」 「うん、店にスーツと新しいシャツがあるよ。」 「駅まで送るよ。担々麺食べて行こう。」  お土産に落花生最中をもらって帰って来た。 航は握手してハグしてくれた。  家に帰らず、職場まで直行だ。 結局、航に有人の話は出来なかった。大仁に恋してるみたいだ、と言われて動揺しただけだった。  桜木町の駅を降りて,歩き出した途端に、目の前で、有人が道を塞いだ。どこから見てたんだろう? 「あ、有人。久しぶりだね。」 「まだ、何日も経って無いよ。 でも剛のいない日々は虚しかったよ。」  ハグされて剛もこんなに寂しかった事に気づいた。 「有人、逢いたかった。」 「よし、帰ろう。」  手を引かれてインターナショナルホテル・ヨコハマのペントハウスまで連れて行かれた。  意外と距離のあるホテルまで,手を繋いで黙って歩いた。  慣れた専用エレベーターに乗って屋上に行く。 最上階では必ず一回止まるエレベーター。  大仁のスイートには人の気配は無かった。 ペントハウスに着いた。いきなり抱きしめられる。 「剛は違う男の匂いがする。」 「ああ、航のベッドを借りて仮眠したから。」  航はいつも剛の体調を気にかけてくれた。睡眠時間を削るような仕事を心配してくれた。  有人は他の男のベッドで眠った事を気にしている。 (比べるなよ,俺。最低な奴だな、俺。)     圧倒的存在感の、有人と大仁の兄弟。剛は二人に振り回されていた事を思い出した。  有人が抱きしめて激しいキスをしてくる。航に抱かれたかった欲望が燻っている剛の身体に、火をつけられた。 「大仁に抱かれた剛が、僕の身体を熱くしている。どんなに我慢したかわかるかい?  航くんとは何も無かったの? 僕を狂わせないで。愛してる。  剛、抱きたかった。」  貪るように剛の服を脱がせる有人は新鮮だった。有人が胸に舌を這わせて敏感になった突起を口に含む。感じたことのない場所にのけぞる。  裸にされて身体中愛撫される。狂乱の行為だった。

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