72 / 77

第72話 ドールの新しい仕事

 大仁とドール、有人と剛、の4人は食事の後、大仁のスイートに集まった。 「不思議な縁だな。また、大仁の強引なわがままだったんでしょ。」  有人が呆れて訊いた。 「こんな綺麗な男はいないよ。 よく、スカウトされるんだろ?」 「うん、街を歩くとウザいんだ。」 「今は何やってるの、無職?」  剛に聞かれた。ドールは男娼とは言いにくい。 大仁が、 「僕はドールを独り占めしようとは思わない。 パトロンになって応援したいんだ。 だって勿体無いだろ。僕一人で独占したら。」 「へえ、そうなんだ。何やるの?」 「ドールは役者が向いてるよ。 バックアップすればいい映画に出られるだろう。」  大仁が珍しく乗り気で話している。 確かに俳優はドールにピッタリな仕事に思える。 みんなこの時は演技というものを知らなさ過ぎた。演技に関してはド素人なのだ。 「今度はずいぶん物分かりがいいな、大ちゃん。 誰かに盗られてもいいの? 芸能界は伏魔殿だぞ。」  有人が心配している。大仁は笑って 「誰かライバルがいると僕は燃えるんだ。」  急転直下、大仁がホテル王のコネを最大限に行使してある劇団の面接を取り付けた。 「えー、入るのに試験があるの? それはイヤだ。ボクが入ってあげるのに、なんで偉そうに上から言われるの?」 (偉そうなのはおまえだ。)  有人は呆れた。 不遜な態度のドールは意外なことに劇団の代表をしている大御所俳優の高岡あきらに気に入られた。 「キミは舞台俳優というより、映画が向いてるね。私と一緒に映画に出よう。」  意外な事を言い出した。ド素人のドールを大抜擢すると言うのだ。  もちろん下心が見える。大仁は 「すごいじゃないか! 映画だって? ドール良かったなぁ。」  しかし交換条件がエグかった。 「大仁、いいの? ボク、ベッドに誘われた。」  その夜、大仁のセックスはいつになくしつこかった。 「はあ、はあ、大仁、ボク壊れちゃうよ。」  ドールの身体は綺麗だった。全裸にして舐め回す。時々甘噛みする。痕を付ける。 「明日、高岡先生と打ち合わせ。 先生の別荘に行くの。一人で来いって。」 (ああ、明日、ドールはあの俳優のものになるんだな。)  ドールは大仁に身体中にキスマークと噛み跡をつけられた。

ともだちにシェアしよう!