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第75話 往年の名優
高岡あきらは、昔は二枚目スターだったらしい。
もう使い物にならない分、性への執着が強い。
ドールは高岡あきらを憐れに思う。優しくするドールを、高岡は意外そうな顔で見る。
「痛いのが好きなのかね?」
「イヤですよ。痛いのなんか絶対にイヤだ。」
「なぜ、逃げない?
そんなに映画に出たいのか?」
「別に出たくなんかないですよ。
大仁が嬉しそうだから承諾したんです。」
「大仁はキミの恋人なのか?」
「いえ、違いますね。まだ、出会ったばかりだし。彼は相手に不自由してないから。」
高岡が手を伸ばしてまた身体を触ろうとする。
「綺麗な身体をよく見せておくれ。」
温泉に入った。抱き合おうとそばに寄ってくる。大柄だがもう年寄りの高岡は汚らしい。
「膝に乗ってくれ。」
抱き寄せて後ろから指を入れようとする。
ドールは目を瞑って大仁を思った。
完璧に鍛えられた筋肉と端正な大仁の顔。
この年寄りは気持ち悪い。
「今度の映画は、キミと私のベッドシーンがあるんだよ。」
「ずいぶんおぞましい映画ですね。あなたは主役を降りるべきだ。もう老害だ。
セックスは美しい者だけが他人に見せられる。」
寝室に連れて行かれた。興が乗ったのか、まだ、ドールを痛ぶるつもりらしい。
「キミは何が好きかね?
そして何が嫌いかね?」
そんなことを聞いて何になるのだろう。
ドールが時折見せる暗い顔。
「ビスクドールって知ってますか?
有名なのはジュモー。ボクのパトロンだった大学教授がジュモーのコレクターで、ボクをドールと呼んだんです。
そしてボクを改造しようとした。本当にドールを作ろうとしたんです。狂人でした。」
ドールはニヤリと笑って高岡あきらを見た。
「ボクを手に入れようとするとなぜか精神が
持たないようです。あなたはどうかな?」
「私には力がある。
キミを生かすも殺すも私次第なのだよ。
俳優になりたいのなら。」
高岡は常軌を逸していた。
「キミの指を食べさせておくれ。
一本くらいいいだろう。昔の遊女は間夫に指を贈ったそうじゃないか。」
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