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第4話
前回は、面倒客の注文も見事にさばいた真斗に柳田は何やらジッと視線を向けていましたね。
さて、その後どうなったのでしょうか!?
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その日の営業後、愛斗はバックヤードにある椅子にドカっと腰をかけて休んでいた。
店が混雑していたことに加えて、あの男性客の件もあったから疲れたのだ。
すると鈴木が愛斗の元にやってきた。
「シェフ、今日はありがとうございました。あの男性客のことで…」
「あぁ。あれも食べれないこれも食べれないってなると、困るよな」
「でも、あのお客様でも食べられるものを即興で作ってしまうなんて、さすがです!」
二歳年下でキュートな印象の彼女にキラキラした目で言われると、愛斗も照れてしまう。
「いやぁ、それほどでもないよ。お客様の希望にできるだけ添えるようにしたいんだ」
「シェフの店で働けて光栄です!」とますます目を輝かせて言う鈴木。
視線が突き刺さるのを感じ振り向くと、そこには鈴木とのやり取りをジッと見ていた柳田がいた。
『あいつ、また…一体何なんだ!?』
なぜこんなに自分を見てくるのか、愛斗にはわけがわからない。
せっかく自分は、必死で我慢しているというのに…。
『くそっ、モヤモヤする!』
ほどなくして、柳田が近付いて話しかけてきた。
「お疲れ様でした」
「あぁ、お疲れ」
「今日は凄かったですね」
「そうか?」
「えぇ。でもまぁ、助かりました」
「……当たり前だろ」
愛斗がニヤリと笑うと、柳田も少しだけ右の口角を上げて「そうですね」と言った。
会話はそれだけ。
彼が僅かでも褒めてくれたのかと思ったら、愛斗の胸の中はキュンと疼くのだった。
『頑張って良かったのかな、今日は』
そう思えた夜だった。
考えてはいけないと思いつつも、愛斗は柳田のことが頭から離れず眠れない夜が続いた。
「くそっ…どうしてこうなるんだよ…」
午前九時半頃、ズキズキする頭を抑えながら出勤すると、フロアの準備を既に始めている柳田が目に入った。
『うわ…もう視界に入っちゃったか…』
彼を視界に入れると仕事に集中できなくなってしまいそうだ。
だから愛斗は、敢えて有能なこの男を見ないようにしているのだ。
しかしよくこれで、何年も一緒にやって来られたものだと自分でも思う。
また愛斗自身も、こうして悶々としている自分が嫌いではなかった。
自分の持ち場まで歩いていると、ふと柳田がこちらを見たような気がして、愛斗は慌てて気付かぬふりをする。
『平常心、平常心…俺はここのシェフだ』
そう自分に言い聞かせて、作業に取り掛かる。
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ご覧いただきありがとうございます。
愛斗と柳田は、明らかにお互いに意識をしているようですね?
じれったさにやきもきしてしまいます(笑)
では、次回をお楽しみに!
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