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第5話

柳田のことが気になってしまう愛斗。平常心になろうとする彼ですが…? *********************************** 開店前の大体の作業が終わった頃、徐に柳田が愛斗に近付いてきた。 「シェフ。おはようございます」 「おはよう…な、何?」 「これを…」 そう言って柳田がそっと何かを愛斗の手に握らせてきた。 『ん?何だ?』 愛斗が手の中身を見ると、そこに握られていたのはエナジードリンク。 「…」 どうしてこんなものを?愛斗は疑問でしかなかった。 「このところ、よく寝ていないようなので…」 気持ちの見えない表情でそれだけ言うと、いつもの完璧なマネージャーとして柳田はその場を離れたのである。 どうして愛斗が睡眠不足に陥っていることが分かったのだろうか。 最近あまり寝られていないなんて、スタッフには誰も言っていないはずなのに…。 まさか柳田は、愛斗が寝不足だということに気付いていたのだろうか。 『俺、そんなにクマとか酷いかな…』 そんなことを考えながら、愛斗は厨房の隅でもらったドリンクを飲んだ。 『サンキュ…』 これで今日は、夜の団体の予約も乗り切れそうだ。 営業後、愛斗は厨房スタッフの加納に尋ねた。 「柳田は?」 「あぁ、柳田さんはバックヤードに行ったみたいですよ?」 店がオープンした時から在籍している加納が、笑顔で教えてくれた。 この加納はセンスもあるし、愛斗が一目を置いているほどの男だ。 「そっか。ありがとう」 そう答えた愛斗は、すぐに柳田がいるというバックヤードに向かった。 バックヤードでは、柳田が椅子に座りパソコンを操作していた。 「お疲れ」 愛斗が声をかけると、柳田が気付いたようで愛斗の方に顔を向ける。 「あぁ、お疲れ様でした」 「今日はありがとう」 「何が、ですか?」 分かっているだろうに、と愛斗は内心で思った。 「ほら、出勤した時にくれただろ?ドリンク…」 「あぁ。アレのことですか」 柳田は愛斗に笑顔を見せてきた。 「どうしてアレをくれたんだ?」 確かに今日はあのおかげで元気が出たかもしれないが、なぜ自分にあのドリンクをくれたのか、不可解だったのだ。 「言ったじゃないですか。寝不足のようだったからですよ。シェフには元気でいてもらわなければいけないですからね」 「何で俺が寝不足だって分かったんだ?」 「さぁ。それはどうでしょうね」 柳田は愛斗の問いには答えず、パソコンをパタンと閉じた。 そして立ち上がると、「ゆっくり休んでくださいね。それでは、また明日」と言ってバックヤードから出て行ってしまった。 心がスッキリしない状態で残されてしまい、モヤモヤとする愛斗。 あとは帰るだけだから、着替えてすぐに帰ろうと思う。 『くそっ…いったい何なんだよ…』 柳田のせいで、今晩もよく寝られそうにない。 ***************************************** 読んでいただきありがとうございました! ドリンクをくれるなんて、実は柳田もちゃんと見てくれてるのかな? これからの展開に要注目!

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